「ITとは何か」「プログラミングとは何か」に気付きを促すイントロダクション
今回の「キッズドローンプロジェクト」は総合学習の時間2コマ(90分)を使って行われた。
出張授業の形をとっており、日本TCSのキッズドローンプロジェクト担当 佐藤未希さんが前に出て、児童たちにあいさつした。
日本TCSは、インド・ムンバイに本社を置く大手IT企業タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)の日本法人。タタグループ全体が、「利益の30%を社会貢献に還元する」という考えのもと、CSR活動に力を入れている。TCSは、北米の54の市町村で小学校向けのSTEM教育支援「goIT」や、教育現場にコンピューテーショナル思考の習得機会を提供する「Ignite My Future in School(IMFIS)」を継続的に行うなど、国際的にITに関する教育支援に知見を持ち、活動している。2019年12月には、IMFISの取り組みが評価され、米国で「Corporate Social Responsibility Award(コーポレート ソーシャル レスポンシビリティ アワード)」を受賞した。
今回の常盤小学校での「キッズドローンプロジェクト」の授業は、副校長が知人である日本TCS社員に相談を持ち掛けたことから始まり、昨年から実施している。
プログラムは、4人ほどの少人数のチームに分かれて行われ、各チームに1~2人の社員がサポーターとして加わる。まずはそれぞれ自己紹介を行った。インド出身の社員もおり、英語でコミュニケーションをとるチームも見られた。
その後、早速ドローンに触ってみるのかと思いきや、佐藤さんはスライドを見せて「ITって何だろう?」と問いかけた。
昔は宿題でわからないことがあったら、図書館などに行って調べるか、家族に質問するしかなかった。しかし現在はどうだろうか。「今みんな宿題でわからないことがあったらどうする?」という質問に、「iPhoneで調べる」「電子辞書で調べる」といったテクノロジーを使った解決方法が児童たちから自然と出てきた。
これは普段意識していないが、何気なくITに触れていることに気付きを促し、ITが社会を支えていることを学んでもらうためのイントロダクションだ。キッズドローンプロジェクトでは、この「ITとは何か」を考え学ぶパートを、重視しているという。
ITが身近にあり、普段何気なく使っていることがわかったら、続いては「プログラミングとは何か」について学ぶ。
ここでは、お母さんにおつかいを頼まれた際の行動を、ロボットと比較して考えてみることで、児童たちに理解を深めてもらった。
お母さんに「ポストを見てきて!」と言われたら、「ポストを見て、手紙があったらもってきてほしいんだな」ということがわかる。しかし、ロボットに「ポストを見てきて!」と伝えたら、「見てきました!」と言って帰ってきてしまうだろう。
そこで、なぜロボットが意図と違うことをしてしまったのか理由を考える。児童たちは「お母さんがただ『見て』と言ったから」と考察。プログラミングでは、「作業を分解して正確な順番で伝える必要がある」ということを学んだ。
佐藤さんは「ちょっとめんどくさいけど、ロボットは途中でさぼって友だちと遊びに行っちゃったりしません。正しい順番で伝えれば、必ずその通りにやってくれます。また、繰り返しやることも得意です」と、一見めんどくさそうなプログラミングも、人間の代わりに正確に、繰り返しやってくれるため便利であるということを、子どもたちにわかりやすく伝えた。
また、プログラミングがどういうものかわかったところで、「ロボットにハンカチをたたませよう!」というミッションに取り組んだ。ハンカチをたたむ作業を分解し、正しい順番にワークシートに書き出してみた。これがドローンを飛ばす際のプログラミングの練習になる。