【小学校の事例紹介1】プログラミング教材で子どもたちの創造性を引き出す
次世代幼児教育研究プロジェクトは2017年に、NPO法人CANVASとプログラミングロボット「キュベット」の日本販売総代理店であるキャンドルウィックが設立した団体で、主に未就学児からの新しい学びを研究し、毎年シンポジウムを開催している。
3年目となる今年のシンポジウムでは、すでに実践的な取り組みを行っている公立小学校の先生から事例紹介が行われた。
最初に登壇したのは、東三鷹学園三鷹市立第一小学校の図工専科である﨑村紅葉教諭だ。﨑村教諭は、電子ブロックの「MESH」や「littleBits」といったデジタル教材を活用し、小学5年生と6年生の図画工作の時間に活用している。
﨑村教諭は「デジタル教材を取り入れることで、より多様な作品が作れる」として、MESHを使ったきっかけを説明。理科の電気の実験や総合的な学習の時間において「災害がおこったとき便利なもの」をテーマにするなど、ほかの教科でも活用しているという。
また、6年生ではマグネット式のモジュールをつないで電子回路を学ぶことができる「littleBits」を使い、各自で未来の遊園地を考えて、作品づくりを行った。
個人的にとても印象に残ったのが、文字を使わないプログラミング言語「Viscuit(ビスケット)」を使った図工の「The Moving Pictures!!」だ。﨑村教諭によると、「6年生の図工で、実際にピアニストの方に曲を演奏してもらい、その音楽をビスケットで動く絵にするという授業を行った。きちんと『音楽を絵に表す』ため、下地として昨年度の5年生のときに、音楽を聴いて絵の具で紙に絵を描く授業を行った」という。子どもたちからは、「どうすればきれいになるか、プログラミングを考えた」「演奏にあわせて想像力をアップできて良かった」といった感想が寄せられた。
こうした事例を紹介しながら、﨑村教諭は「子どもたちが作った作品が『これだけすごい』『こんなこともできる』と表現できる場も必要だと感じた」と、アウトプットの場の必要性についても言及した。さらに、「プログラミング教材を使うために授業を行うわけではなく、ビスケットという道具をうまく活用することにより、それぞれの子どもたちの創造性を高めることができた。教科のねらいを達成するために、有効にプログラミング教材を使っていくことが大切だと再確認することができた」と話した。