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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(EdTech動向)

EdTechが「失望期」を乗り越えるために必要なこととは? ICTの利活用には工夫が欠かせない

「私塾界リーダーズフォーラム 2019」レポート

 2020年の大規模教育改革まで残すところあと1年、さらにモバイル通信システムが5G時代を迎えようとしている今、教育サービスもまた大きく変化しつつある。そんな折、6月3日に開催された「私塾界リーダーズフォーラム 2019」では、学びエイドの廣政愁一氏、KECの北島あすか氏、キラメックスの樋口隆広氏が登壇。「5G時代を見据えたICTの利活用」と題し、それぞれの立場から見たEdTech、ICT導入・活用のポイントと将来における可能性などをテーマに講演およびトークセッションを行った。その模様をレポートする。

登壇者

  • 株式会社学びエイド 代表 廣政愁一氏
  • 株式会社ケーイーシー KEC個別・KEC志学館個別 本部長 北島あすか氏
  • キラメックス株式会社 代表 樋口隆広氏

今年は教育ICT活用の失望元年!? その言葉の意味とは?

 2019年初め、ある教育系フリーペーパーに「今年はAI、EdTechのICT『失望元年』となる」という衝撃的な内容が寄せられた。寄稿者は、教育動画配信サービス「学びエイド」の廣政愁一氏。これまでの塾におけるICT活用は適切ではなかったのか。そんな不安をかき立てられた方もいただろう。果たして、どのような意図で寄稿したのか。

株式会社学びエイド 代表 廣政愁一氏
株式会社学びエイド 代表 廣政愁一氏

 廣政氏は「未来を予測するには歴史を振り返ること」と語り、これまでの教育におけるテクノロジー利用を振り返った。まず旺文社が「ラジオ講座」と勉強のやり方を紹介する「螢雪時代」との二輪で教育サービスを展開したこと。そして「全国模試」の登場について触れ「大学受験における教育機会の均等が広がっていった」と解説した。

 その後、郵便を用いたZ会や福武書店(現:ベネッセ)といった双方向の通信教育が全盛となり、1991年には東進ハイスクールで中継型の動画配信が開始される。さらに6~7年後には個別に視聴ができるようビデオの貸し出しが始まり、DVD、オンライン配信へと変遷していった。

 ここで廣政氏は、ガードナー社が提唱する技術の成熟と普及を表す「ハイプ・サイクル」を紹介。それに照らし合わせるとEdTechに注目が集まり始めた2017年8月から翌年1月までが、技術の成熟度が十分ではないが過剰に期待される「流行期」だったという。その後、技術に対する「幻滅期」、続いて地道な技術的進歩による「回復期」が到来する流れだ。

 廣政氏は「幻滅期を乗り越えるのは大変で、消滅する技術やサービスも多い。しかし1990年代に『使えない』と評価されたカーナビが今では当たり前に使われている。EdTechもここ数年で試行錯誤しながら技術を進化させてきた。十分とは言えない部分もあるかもしれないが、EdTechはじきに『普通に使えるサービス』となるはず」と語り、冒頭で紹介された寄稿について「自戒の思いを込め、2019年をゼロ地点として『失望元年』と表現させていただいた」と説明した。

種をまく時期としてICT活用事例を蓄積し、真の自立型学習の実現を目指す

 続いて登壇したのは、KEC個別・KEC志学館個別で本部長を務める北島あすか氏。志学館ではもともと東進ハイスクールの動画サービスを利用し、近年では個別指導に学びエイドを導入、小学生向けプログラミング教室「プロスタキッズ」もフランチャイズ展開している。積極的にICTツールを活用してきた塾と言えるだろう。

株式会社ケーイーシー KEC個別・KEC志学館個別 本部長 北島あすか氏
株式会社ケーイーシー KEC個別・KEC志学館個別 本部長 北島あすか氏

 北島氏は「小学生の個別指導は2018年冬から能力開発へとシフトし、学びエイドを始めとするICTコンテンツを各種導入してきた。またミスターフュージョン社と連携し『Minecraft』などを活用してプログラミング教育を開始しており、200枚チラシ配布を行うとその日のうちに最低10件は問い合わせがある」と関心の高さを語る。

 また中学生向けでは、1対2の個別指導と定期テスト対策において理社国のタブレットを使った反復学習を実施。高校生向けでは学びエイドとAIと用いて個別教材をアダプティブに作成する「atama+(アタマプラス)」を活用しているという。

 北島氏は「2020年の大学入試改革を意識しながら、現在は『種まき期間』としてさまざまなEdTechの活用事例を多数作り、集客および中身の充実に取り組んでいく」と語り、「その活用を通じて、生徒たちの学びに対する受け身の姿勢から、自分で自立的に学ぶスタイルへと転換させていきたい」と今後に意欲を見せた。

プログラミング教育導入成功の鍵は、ICTの可能性を信じ試行錯誤を

 3人目は、子ども向けプログラミング教室「TechAcademyジュニア」を展開するキラメックスの代表、樋口隆広氏。もとはプログラミングスキルを本格的に学びたいとする大人向けのサービスを設立したが、子ども向けのニーズが高まったことからフランチャイズ形式のTechAcademyジュニアをローンチしたという。提携している全国の学習塾に対し、プログラミング教育のノウハウやコンテンツなどをオンラインで提供している。

キラメックス株式会社 代表 樋口隆広氏
キラメックス株式会社 代表 樋口隆広氏

 その樋口氏から見た「プログラミング教室」がうまく開講できている塾のポイントは「本気でICTの価値を認識しているかどうか」にあるという。廣政氏の講演にもあったように、現状ICT教育やEdTechが完全とは言えない中で、その価値を信じて真摯に取り組むところは成果が出つつあるという。

 そして2つ目のポイントとして「適切な自己否定ができていること」を挙げる。樋口氏は「キラメックス自身も試行錯誤を続け、自己否定を繰り返してブラッシュアップしている。新しいプロダクトを作っていかなければ継続的な成長は望めないと感じている。塾も同様に適切な自己否定のもと、ポジティブに変化していくことが重要」と強調した。

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教育テクノロジーを利用する側、提供する側に求められるもの

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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