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特集記事(海外動向)

いま、日本で国際バカロレア(IB)が注目される理由とは――生徒の「思考力」を鍛え、一流の社会人を育むプロセスを経験者が解説(後編)

 今後の国際社会で通用する人間を育てる教育プログラムとして、日本でも国際バカロレア(IB)への注目が急速に高まっています。本連載では、英語塾キャタルのバイリンガル教師として活躍するIB経験者2名が、「IBとは具体的にどのようなプログラムなのか」「IBの授業を通してどういったスキルが身につくのか」という内容を前編・後編に分けて解説します。

 2人目のIB経験者Iさんは、中学~高校時代にアメリカで国際バカロレアの教育を英語で受けました。その内容について、「とにかくハードですが、非常に充実した教育プログラムでした」と語っています。

最後の試験は大学レベル!? IBディプロマ・プログラム(DP)の内容

 Iです。国際バカロレアの教育を受ける生徒はどのようなプログラムで、どのように成長するのでしょうか。今回は筆者の実体験から、国際バカロレアのプログラムの解説と、IB教育で得た3つのスキルについてお伝えします。

 近年、注目を浴びているIB教育は、対象年齢ごとに下記の3つのプログラムに分けられます。

  • 3歳~12歳:PYP (Primary Years Programme プライマリー・イヤーズ・プログラム)
  • 11歳~16歳:MYP(Middle Years Programme ミドル・イヤーズ・プログラム)
  • 16歳~19歳:DP(Diploma Programme ディプロマ・プログラム)

 ここでは、16歳から19歳の大学入学前の生徒を対象とした「DP(ディプロマプログラム)」について、実体験をもとに解説していきます。

 2年間のプログラム期間中に、どのようなことを学べるのでしょうか。

 DPには、<言語と文学・言語習得・個人と社会・理科・数学・芸術>という6つのグループ(教科)があります。各分野から1科目ずつ(もしくは芸術の代わりに他の5グループからもう1科目)選ぶことができ、合計6科目の授業を受けます。2年間これらを幅広く学び、最後に各科目で試験を受けます。試験には大学レベルの問題もあり、自分の意見を求められるような筆記試験(エッセイ形式)が多く出題されます。

6つのグループから構成されるDPのカリキュラム(文部科学省のサイトより)

6つのグループから構成されるDPのカリキュラム(文部科学省のサイトより)

座学だけではない! 研究論文や課外活動も要件に

 上記の6科目に加え、卒業要件には3つの「コア」と呼ばれる「(1)TOK」「(2)課題論文」「(3)CAS」が含まれています。

 「TOK(Theory of Knowledge)」の日本語名は「知の理論」。授業、プレゼンテーション、エッセイなどを通じて物事を多角的に捉えるクリティカル・シンキング(批判的思考)を身につけます。知識はどのように習得され、私たちが何を「知」としてどのように判断しているかなど、知識を得る過程について考える科目です。

 「課題論文」では、自ら決めた研究課題についてリサーチし、英語で4000字(日本語で8000字)の論文にまとめて提出します。大学で出されるエッセイ課題でもこの半分程度というケースは多く、高校生が同じ長さの論文を書くのは、かなり負荷の高いことだと考えられます。

 「CAS」とは Creativity(創造性)、Action(身体的活動)、Service(奉仕)の3つの要素における活動を指しています。生徒はこれらの分野で課外活動を行い、その時間数がCAS単位として認められます。つまり、DPはアカデミックな学習と並行し、さまざまな課外活動も積極的に行うことを促してくれる教育プログラムになっているのです。

次のページ
国際バカロレアで身についた3つのスキル

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この記事の著者

英語塾キャタル(エイゴジュクキャタル)

 小学3年生~高校3年生のための4技能型英語塾。慶應義塾ニューヨーク学院への合格者実績日本一など、これまでに多くの子どもたちがバイリンガルの学習法で英語4技能を身につけた。有名大学のバイリンガル教師にはIB資格取得者も多数在籍する。  代表取締役社長 三石郷史氏は、英語に苦労した経験から「小中高生...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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