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急速に拡大する"脳"を巡る世界市場――北米以外のブレインテック事例紹介

ブレインテック×EdTechの可能性 第3回

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2019/03/29 07:00

 ニューヨークに拠点を置く調査会社Persistence Market Researchによると(※1)、世界の脳科学(BrainTech , neuroscience)市場は2025年には5.2億ドルに成長し、そのうち北米が41%を占めると予測されています。前回は今後のブレインテック市場をけん引すると予測されている、アメリカでの「ブレインテック×EdTech」の現況と事例をご紹介いたしました。では、他の地域ではどのような動きがあるのでしょうか?

※1

Global Neuroscience Market To Reach US$ 520.8 Million by 2025 - Persistence Market Research

脳科学をテーマにした国家プロジェクト

 アメリカがバラク・オバマ大統領時代に、大統領令による巨大予算プロジェクト「Brain Initiative」を開始したことは前回ご紹介しましたが、アメリカ以外の諸外国も同様に、国家予算による大規模な脳科学関連の取り組みを開始しています。ここでは、そのいくつかをご紹介しましょう。

EU(欧州連合)

 2013年、EUによる10年間で約10億ユーロの予算が組まれた大規模な科学・工学プロジェクトが誕生しました。それが「Human Brain Project」です。Human Brain Projectの研究センターでは、ヨーロッパ内外から100以上の組織が参加し、ブレインシミュレーション、ニューロロボティクスなど、6つの領域での研究が進められています。

「Human Brain Project」のWebサイト
「Human Brain Project」のWebサイト

 また、EU最大規模の投資(2014年からの7年間で約800億ユーロ)が見込まれる、研究・イノベーション促進のためのフレームワーク「Horizon 2020」は、ブレインコンピューターインターフェースなど、脳科学に関する研究開発を行う「More Grasp Project」に対して、約3年間の助成を行っています。

中国

 「China Brain Project」は、中国の科学技術部と国家自然科学基金が主導する脳科学プロジェクトです。中国で行われる6つの長期科学プロジェクトの一つであり、15年間(2016年から2030年)、国から資金提供されることになっています。

 また、2018年6月25日には「国家重点実験室の建設・発展強化に関する意見」が科学技術部により発表されました。国家重点実験室とは、基礎研究の水準向上を目的に、中国教育部および中国科学院が中心になって作られたもので、運営費用は国が提供しています。発表によると、中国はこの実験室を2020年までに700か所に増やす計画で、特に先端分野に注力するようですが、その中に脳科学に関する「China Brain Project」も含まれているようです。

韓国

 韓国のブレインテックに関する国家プロジェクトは2016年3月に発表された「Korea Brain Initiative」です。学界、研究機関、企業から集められた専門家で構成される諮問委員会を組織し、脳科学に革命を起こすための10年計画を策定しています。

「Korea Brain Initiative」のWebサイト
「Korea Brain Initiative」のWebサイト

イスラエル

 "ブレインテック"という言葉の生みの親と言われているのが、2016年に亡くなったイスラエルの前首相、シモン・ペレス氏です。彼が設立した非営利団体「ISRAEL BRAIN TECHNOLOGIES」は、ブレインテックに関する国際的なカンファレンス「International Brain Technology Conference」を開催する他、ブレインテックを活用した事業を推進するための創業支援、資金支援に関する活動を積極的に展開しています。そのため、イスラエルでは現在、脳神経科学を活用したスタートアップ企業が100社以上活動していると言われています。

 ご紹介した通り、脳科学全般に関する大規模な研究開発は、全世界に拡大しています。しかし、脳科学がカバーする領域は大変広く、心理学から医学まで、さまざまな研究がこれに含まれています。教育における脳科学の活用にテーマを絞ると、取り組みは限定的かもしれません。

 次は「ブレインテック×EdTech」にテーマを戻して、韓国とイスラエルから、コンシューマー向けサービスの事例をご紹介します。


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修正履歴

  • 2019/04/04 15:20 誤字を修正させていただきました:Kadan⇒Kaddan

著者プロフィール

  • 株式会社メディアシーク(カブシキカイシャ メディアシーク)

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