千葉工業大学、DOU、マイナウォレットは、授業で獲得した仮想通貨をマイナンバーカードで決済する実証実験の共同実施について、7月10日に開催された「web3・AI概論」の最終発表会「ChibaTech Expo 2025」で発表した。

同実証には、「web3・AI概論」を受講する同学の学生と社会人の計240名が参加。課題提出や授業参加によって獲得した仮想通貨「cJPY」を使用して、マイナンバーカードを端末にかざすだけで実際の商品を購入できるという体験をした。
同実証における決済対象商品は、学食人気メニューを楽しめるディナー会参加チケット、またはポーチ、ステッカー、マグカップなどの授業オリジナルグッズとなっている。

同実証を通じて、従来は点数やグレードという形でしか表現されなかった学習成果を、実際に使用可能な仮想通貨として可視化した。これまでの純粋な成績ポイント制度から、授業に積極的に取り組んだ受講生への実体的なリワードへと発展させた。
新しい技術普及の障壁となる「専用ツールの導入」を回避すべく、マイナンバーカードという既存インフラで仮想通貨決済ができるかを検証している。これにより、煩雑な本人確認プロセスの簡略化が可能であることを実証した。
さらに、学習活動と経済活動を直接連結させることによって、受講生の学習に対する取り組み方に変化をもたらす新しい教育体験を創出した。
仮想通貨「cJPY」は、授業内での学びや学び合いに対する貢献に応じて付与される、授業用に開発されたデジタルトークン。「cJPY」は、米トランプ大統領が発行した「トランプコイン($トランプ)」と同様に、ブロックチェーン技術を活用したデジタルトークンとして設計されている。教育現場での学習促進のみを目的として設計され、分散型市場での売買や換金はできないため、投機的な取引を防ぎ、学習への貢献に対する純粋な報酬として機能する。
具体的な「cJPY」の獲得方法としては、通常の課題提出のほか、期限内提出や内容の充実度、クラスでの発表や他の受講生へのサポート活動、学習コミュニティでの積極的な質問や回答などによる獲得が可能となっている。
同実証では、学習成果の可視化とマイナンバーカード決済の組み合わせによる新しい学習体験の可能性が確認された。千葉工業大学では、この成果を踏まえて他の授業科目での応用や、より多くの受講生への拡大を検討していく。
また、マイナンバーカードを決済基盤として活用する手法は、新技術の社会浸透における実用的なモデルケースとなる。教育分野での成功を基盤として、地域コミュニティでのボランティア活動や企業内の貢献評価システムといった、より広範な社会領域での応用も検討する。
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