内田洋行とウチダ人材開発センタは、日本規格協会(以下、JSA)が2021年に発行した、ICT支援員サービスに関する規格が1人1台端末の普及後に一定の役割を果たしたことを受け、新たにNEXT GIGAに向けてICT支援員が求められる教育データ活用やGIGA端末管理、生成AIの活用など最先端のICT授業の高度化に対応するため改正に協力したことを、2月20日に発表した。

今回の規格改正は、ICT支援員の業務に関する課題や現場の声を反映し、NEXT GIGAでのICT支援員サービスの品質標準化と支援員の活躍を後押しすることを目的としている。

2020年度からの「GIGAスクール構想」の実施により、全国の公立小中学校に1人1台のタブレット端末と高速通信ネットワークが整備された。現在、ICT支援員は機器の操作やトラブル対応、研修会の企画・実施などで教職員をサポートし、教育のICT化に貢献している。
一方で、教育現場では導入されたタブレット端末でのアカウント管理や年次更新業務の増加、故障トラブルの多様化などにより、ICT支援員の業務負荷の的確なマネジメントも重要になっている。授業では、プログラミング教育、学習eポータルや教育ダッシュボードのデータ入力、文部科学省のCBTシステム(MEXCBT)への対応などが求められている。さらに、生成AIの活用など、2021年のICT支援員サービスの規格制定時には想定されていなかった新たな業務支援ニーズが生じている。
こうした変化を踏まえて内田洋行とウチダ人材開発センタは、JSAに向けて最先端な教育現場で求められるICT支援員サービスに対応した改正案を起案した。全国の自治体へのICT支援員サービスの提供や、省庁への教育ICTに関する調査研究成果、支援員の養成カリキュラム情報など、多岐にわたる情報の提供を通じて規格策定に協力した。
規格改正に際しては、有識者で構成された「教育ICTサービス規格開発委員会」において、現在のICT支援員の活動状況や自治体ごとの整備状況の差異、提供事業者ごとの品質の違いなども踏まえて用語や定義についても再検討を行った。同委員会での議論をもとに案が作成され、JSA規格開発制度に基づく確認を経て、2025年1月14日にJSA規格「学校におけるICT活用支援サービスに関する規格」が発行された。
今回、ICT支援員の業務(ICT活用支援サービス)と要件(知識・スキル、能力開発)などが改正された。概要は以下の通り。
1.ICT活用支援サービスに関する用語の定義を見直した。
- ICT、ICT活用支援サービス、ICT支援員、管理責任者など
2.ICT支援員によって提供されるICT活用支援サービスの内容を追加した。
-
ICT環境の整備
- 学校で利用しているOSや授業支援システムなどのアカウント管理の支援
- ICT機器・ソフトウェア・クラウドサービスの活用に必要な年度更新作業の支援(学習eポータル、各種アプリケーションを含む)
- 端末管理台帳の作成・更新、台数確認などのタブレット端末管理支援
-
教職員間の情報共有
- 教職員間の情報共有や協同作業を目的としたグループウェア・クラウドサービスの操作方法についての活用支援など
3.ICT支援員について(知識・スキル、能力開発)を追加しました。
- ICTの効果的な活用方法(生成AI・情報活用能力を含む)
- 教育用アプリケーション(プログラミング教材を含む)の概要
- 端末およびネットワーク障害トラブルの対応(一次切り分け)
- 教育の情報化に関する文部科学省の最新情報(ガイドラインなど)など
4.管理責任者について要件や業務内容を見直した。
- ICT活用支援サービス事業者と教育委員会などとの間の契約に基づき、ICT支援員を積極的に支援し、ICT支援員業務全体を円滑に進めることを目的として業務を行う、など
なお「JSA-S1010:2025学校における ICT 活用支援サービスに関する規格」の価格は3410円で、JSAの公式サイトから購入できる。
今回の改正によって、教育ICT化に取り組む教育関係者、ICT活用支援サービスを提供する事業者が同規格を指針として活用し、教育現場の一線で教職員を支えるICT支援員の重要性が再認識されることで学校現場でのICT活用が推進されることが期待される。内田洋行とウチダ人材開発センタは、今後も児童生徒や教職員が安心して学べる最先端の教育ICT環境を整備し、教職員の負担軽減への貢献と学びの充実を支援していく。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア