ミラッソは、教職員の業務効率化を支援するAI導入・支援プログラム「Teaching Partner Program」事業を開始したことを、11月15日に発表した。
2022年に実施された文部科学省の「教員勤務実態調査」では、教職員の長時間労働が改善傾向にあることが明らかとなった。しかし、依然として小学校教諭の64.5%、中学校教諭の77.1%が正規の勤務時間を10時間以上超過するなど深刻な状況が続いている。
こうした中、2023年9月からは文部科学省による、生成AIを活用した教職員の働き方改革に関する実証実験が始まった。ChatGPTの登場以降急速に普及した生成AIは、ビジネスの現場でも業務効率化を目的とした活用が進んでおり、教職員の長時間労働是正にも寄与するものと考えられる。
教育関係者を対象としたアンケート調査では、生成AIの利活用が進んでいないことがわかる。仙台大学が2024年7月に実施した「学生と教員を対象とした生成AIの教育利用状況と意識に関する全国調査」によると、教職員による生成AIの利用割合は2割弱にとどまっている。
教育現場における生成AIの利用にあたっては「学生が試験時やレポート時にAIを不正に利用する」などの懸念もある一方で、「生成AIの基礎知識」「教育への活用方法」「生成AIを利用した業務効率化」などのノウハウの提供が必要となっている。
同社は「教育現場におけるAI活用の在り方と業務効率化」につき、教職員を対象として教育現場の働き方改革に貢献し、生徒に向き合う時間を増やしてもらいたいと考えている。そこで、先端ビジネス現場で培われたAIスキルを教育現場に応用し、教職員の業務効率化を実現する同プログラムを提供することとした。
同プログラムでは先端ビジネス分野のAI専門人材による実践的な導入・活用支援を提供し、業務効率化のほか、次世代を担う生徒指導にも役立つAIスキルを活用する。また、学校ごとにカスタマイズした導入設計・運用代行にも対応する。
同プログラムは11月から提供開始で、対象は小・中・高校・大学・専門学校・学習塾・スクールなどの教育現場。
カリキュラム例(3日間コースの場合)は以下の通り。
1日目:AI基礎を学ぶ(2時間)
- 基本的な使い方を学ぶ
- ChatGPTをカスタマイズできるマイGPTの作成方法
2日目:AI活用実例を通じて実践する(1時間×2コマ)
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文章作成
- 生徒の要録(1年間の授業・生活態度などの記録)、会議議事録作成
- 通知表のコメント作成
- 行事の実施要項(生徒・保護者向け)
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データ処理作成
- レポートの採点
- アンケートの自由回答の集計から課題と対策案を立てる
3日目:AI活用実例を通じて実践する(1時間×1コマ+30分)
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資料作成
- 授業の投影資料作成
- 生徒に配布するプリント、小テスト、シラバス作成
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実践計画策定(30分)
- AI活用に向けた計画に落とし込む
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