キャリアbaseは、通信制高校内における「校内キャリアサロン」のプロジェクトを、9月に本格的にスタートすることを発表した。同法人は、休眠預金等交付金を活用した「高校生世代の子育て家庭『くらしと学びの危機』緊急支援事業」(資金分配団体:キッズドア、READYFOR)に採択されており、実行団体として今回プロジェクトを実施する。
「校内キャリアサロン」は、通信制高校に通う生徒が進路や将来に不安を覚えたときに、学校外の信頼できる大人に気軽に相談可能な場となるサロン。生徒の進学以外の選択肢に対して、「出口支援」の需要が高まっていることから設置される。
週1回(1回3時間程度)から通信制高校のキャンパス内に開設され、オフライン・オンラインのどちらからでも活用できる。キャリアコンサルタントやカウンセラーといった有資格者を中心にキャリアbaseから人材を派遣して、決まった曜日・時間にサロンに常駐してもらうことで運営していく。
通信制高校では、約7.6万人の卒業生の3割にあたる2.4万人以上が「進路未決定のまま」卒業するといわれる。このことから、就労・居場所に関するノウハウを有した民間のサポートが学校側からも必要とされており、学校・民間団体との連携による仕組み作りと、人材の育成が急務となっている。そのなかで同事業は、以下をポイントとして実施される。
- キャリアbaseがこれまで培ってきた大手通信制高校「本部」とのネットワークや成功事例を、各キャンパスやその他の通信制高校に拡げ、サポート校の体制によって、生徒が受ける教育機会や情報の格差が生まれない状態をつくっていく。
- 民間と学校との共創支援の成功モデル構築のため、キャンパス単位とキャリアbaseの強固なネットワーク化・情報連携を行う。
- 「通信制高校における就労支援」というニッチな領域に対しても、対応可能なキャリアサポーターを育成することによって、各キャンパスにおいて個別対応できる体制の足掛かりをつくる。
キャリアbaseは、のべ190校・2万3000名超の生徒に対してキャリア教育や就労支援を行ってきた実績がある。それらの支援を通じて培ってきたノウハウや事例も活かしつつ、11月末までに20校でのサロン設置、およびのべ利用人数400名を目指す。
あわせてキャリアbaseでは8月~2025年1月にかけて行う全6回のプログラム「通信制高校で活動する、キャリアサポーター育成講習」を開催する。同プログラムは、通信制高校での支援活動において活躍可能な人材の育成を目的としており、校内キャリアサロンのプロジェクトを中心に高校生への支援を担うキャリアサポーターや支援活動に関わる人材の、対人支援におけるコミュニケーションスキルやキャリアコンサルティングスキル向上を目指していく。
第1回目は、8月29日12時~15時に1級キャリアコンサルティング技能士である福島雅史氏を招いてオンラインで行われる。参加費は無料で定員は20名となり、おもな参加対象は以下の通り。
- キャリアコンサルタントとして、高校生の個別伴走支援に携わってみたいと思っている人
- 通信制高校の生徒に向けた、キャリア支援のスキルを身につけたいと思っている人 など
カリキュラムは基本ライン(国家資格キャリアコンサルタント)の復習、および熟練レベル(キャリアコンサルティング技能士2級)の予習をベースとして構成され、おもな内容は以下の通り。
- 支援者の定義と原理原則、傾聴の基礎
- キャリアコンサルタント行動原則、傾聴技法の基礎
- 傾聴技法の実践、組織キャリアの基礎 など
同プログラムは以降、2025年1月まで月に1回ずつ開催される。
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