【観点3】活用状況が2026年度中に問われる
講演の最後、以下のスライドを提示した武藤氏。2026年度にはほぼすべての自治体において2nd GIGAの更新が完了する見込みで、2nd GIGAの予算措置の前提となっている「効率的な執行・活用状況についての検証」についても行われる。その到達状況により、「次期更新に向けて、今後の支援の在り方を検討」されるという、2nd GIGAが閣議決定された際の「総合経済対策」の記載内容を改めて確認した。
つまり2026年度の段階で端末が十分に活用されていなければ、「次の端末更新に向けた支援が難しくなる」という可能性を武藤氏は指摘した。そうならないためにも、武藤氏は2026年度に向けてGIGAスクール構想の一層の「深化」を求めるとともに、次のような言葉で講演を締めくくった。
「今のGIGAスクール構想では、クラウドや端末があることにより、不登校や特別支援、外国籍の子ども、さまざまな認知特性を抱えた子どもたちなど、学びにくさを抱えていた児童生徒が救われている。その意味では、以前と比べて『学習権』の保障の度合いが進歩している。
しかし、もし更新が滞ったり、お金がまったくつかなくなったりすれば、救われていた子どもたちも救われなくなる。これは学習権の後退になる。学習権は人権の一部だから、人権の後退につながる。そのような事態を引き起こしてはならない。この2年間、現場の皆さん含めて全員が苦労して整備した端末が十全に活用され、子どもたちがもっと学びやすくなり、先生方がもっと働きやすくなる状況を創っていきたい」
武藤氏の講演で触れられた「3つの観点」を総合すると、外部の変化が急速化している世の中で、一人ひとり特性・特長が異なる子どもたちが最大限活躍できるよう、GIGA端末を児童生徒や教職員が最大限に活かしていくことが重要となる。そして、その活用度が全国的に高くなっていることが、今後も国として継続的な支援を行う際の前提になっている、ということになる。
こうした背景やGIGAスクール構想の目的を、教育委員会や学校教職員だけでなく、端末やサービスを提供する事業者や子どものいる保護者など、幅広い「学校教育に関わる人たち」と共有して歩んでいくことも、今後より重要になってくるだろう。