大学改革にはビジョンの明確化と共有が重要
最初に登壇した村上氏は「教職協働こそが大学改革を成功させるカギ」として、日本の大学における課題とその解決策を提示した。
多くの私立大学から経営相談を受けるという村上氏は、「組織は人なり」という言葉の解説から講演をスタート。「うまく機能している組織は『ビジョンを共有する』『コミュニケーションをとる』『知識と文化を創造する』『組織の未来をともに描く』といった特徴があるが、これらはすべて大学にもあてはまる」とした。そのうえで「大学の使命とは第一に教育・研究。そして教育・研究をもって人材育成をし、社会に貢献することだ」と参加者に語り掛けた。
さらに、大学改革を行う以前に「まずビジョンを明確化し、すべての教員、職員、学生がそのビジョンに共感することが重要である」と話し、実例として「アジア工科系大学のトップ10」というビジョンを掲げた芝浦工業大学のエピソードを紹介した。
「芝浦工業大学では、さまざまなデータを見ながら教職員で議論をした。『トップ10』という特定のランキングに注目するのではなく、『アジアの工科系大学の代表はどこか』と聞かれた際に名前が挙がるようになる、ということが我々のビジョンとなった」と村上氏は話す。その際KGI、KPIを数値目標として作成し、教職協働で工程管理をすることも重要だ。そして、この「教職協働」こそが大学改革のカギであるという。