近畿大学は、内田洋行およびグループ会社のウチダシステムズとの協力により、対面とオンラインを融合した最先端なハイフレックス型学修空間の創出に向けて取り組んでいる。その一環として、同大学の東大阪キャンパス38号館のパソコン教室を大幅にリニューアルし、4月1日に利用を開始する。

今回、行われたリニューアルでは、38号館の多目的室、第9・第10情報処理教室を、最先端のICTと空間デザインによって、オンラインとリアルをハイブリッドにつなぎ、フレキシブルな学修を可能にするハイフレックス型学修空間に作り替えた。まず、学生のパソコン必携化によって需要が減少した、パソコン教室の据え置き型パソコンを最大限まで撤廃。それぞれの教室には大型マルチスクリーン4面と複数の可動式ディスプレイを設置し、学生同士が自身のパソコンをフル活用して、ワイヤレスでさまざまな意見を創出させるICT環境としている。可動式の家具や大型ディスプレイなどを導入によって、教育場面に応じて即興的にレイアウトを動かすといった、躍動感のある授業を行うことができる。
1対多数のレクチャーに加えて、グループワークやディスカッション、プレゼンテーションといった多様な授業シーンに合わせた、自由自在なレイアウトが可能となっている。講義の際、資料集とBYOD端末の併用でも余裕があるように、机上面を拡げた製品を導入している。さらに、第9・第10情報処理教室には、ICT空間制御システム「codemari(コデマリ)」を導入することで、AV機器の操作をタブレット端末からワイヤレスで行うことができる。1つの制御システムから2教室同時のICTツール操作といった、スムーズな教室の分割や統合が可能になっており、教職員にとっても使いやすい教室環境を実現している。
あわせて、ワイヤレス投影システム「ClickShare(クリックシェア)」の導入によって、学生が教室のどこにいても自分の端末からスムーズに意見を投影、共有できる環境を実現。そのほか、マルチ投影環境によってグループワークやプレゼンテーション時には、投影画面を共有しつつ効率的な意見交換が可能になる。教室内の全画面に発表資料を映すことで資料が見やすく、学生の「協働的な学び」の実践を実現する。
多目的室は「他学部や地域への開放も視野に入れた、誰もが使いやすい、使いたくなる教室」をテーマに、講義以外での学生の協働活動・自習など多目的に活用することを想定している。組み換えできる家具によって学生のグループワークを促進させ、プロジェクター大画面3面+サイド2面に加えて、可動の大型ディスプレイを活用することで、グループワークや100名までのセミナーにも対応する。台形テーブルを組み合わせたグループワークスペースやカウンターといった、1人でも大人数でもリラックスして活き活きと過ごせる空間として、今後は地域の人々に向けたさまざまなイベントの開催なども視野に入れて設計されている。
第9情報処理教室は「事を起こす! 反響を呼ぶ問題を提起する」をテーマに、実習室から近畿大学、地域、世界へと波紋を広げていくことを想定して設計。発表のステージを意識した中央を囲む形の座席配置で、これまでにないレイアウトが学生の集中力と参加意識を高める。学生を主人公とした、より魅力的なプレゼンテーションやレクチャーを演習するために、ホワイトボードやセンターステージレイアウトを採用した。
第10情報処理教室は「ともに学ぶ共生の場」であり、問題解決型学習(PBL)やチーム基盤型学習(TBL)といったグループワークでの活用を想定し、それぞれのグループが使いやすいディスプレイを設置している。

そのほかオンラインとリアルをハイブリットにつなぐために、インターネット環境があれば時間や場所を問わず自身のパソコンから接続可能な、デスクトップ仮想化(VDI)サービスのAVD環境と、自習室の予約などを管理する仮想デスクトップソリューション(Accops HyLabs)を組み合わせて提供する。学生は通学の有無を問わず授業の受講や自主学習ができ、教員にとっては共通のソフトウェアがインストールされた環境で授業を実施できるようになる。

なお、今回のハイフレックス型学修空間は、3月24日10時~15時の期間に開催される同大学のオープンキャンパスで公開される予定となっている。
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