「奇跡の学校」と呼ばれた洗足学園小学校
洗足学園小学校の「Open Day 2023」には、北海道から沖縄まで、全国から100人以上の教育関係者が集い、同校の公開授業を見学したほか、講演やワークショップに参加した。
Open Dayの冒頭、校長の田中友樹氏があいさつを行い、その後、教頭の赤尾綾子氏が同校のICT活用の歩みを紹介した。
赤尾氏は「最初『サファリ』と聞いて、アフリカを想像した」「子どもがiPadを土に埋めた」といったICT導入初期のエピソードを披露。ICTに詳しい教員がほとんどいないにも関わらず、全国有数の活用校となったことで「奇跡の学校」と呼ばれるに至ったことを語り、今回公開する授業は全クラスが特別ではない「普通」の授業であることを伝えた。
1年生からiPadを当たり前に使いこなす
公開授業は5時間目に行われ、1年生から6年生まで、全学年の授業を見学することができた。教科も国算理社英のほか、道徳や体育と幅広く、それらのすべてで当たり前のように子どもたちが「iPad」を活用する姿が見られた。
また、1年生、3年生、5年生では、現在同校が注力しているテーマのひとつである「デジタル・シティズンシップ教育」の授業が行われていた。
1年生の道徳「これはヒミツ」では、個人情報をテーマに「知らないひとに話してよいこと、いけないこと」を考えて、「ロイロノート・スクール(以下、ロイロノート)」に書き、自分の意見を発表した。3年生のテーマは「メディアバランス」。ピラミッドチャートで自分がどのように時間を使っているのか可視化し、自らのメディアバランスについて考えた。
5年生は「責任ある発信」というテーマで、外部に向けた洗足学園小学校の新聞をつくるという想定のもと、著作権や肖像権について学んだ。班で「このイラストはダメかな」などと話し合い、外部に発信する際の画像について考え、文章の校正を行った。
3年生の社会では、公害について調べた内容を班で「Keynote」を使ってスライドにまとめた。1つのファイルを班で共有し、数人で資料を作り上げたという。スライドに使う画像は児童のアイデアを教員が「ChatGPT」で生成するなど、生成AIを積極的に活用している様子も印象的だった。
2年生の体育では、体育館に設置されたグリーンバックの前で、各自がマット運動を行い、その様子をiPadで動画におさめていた。「Clips」や「iMovie」を使い、自分が行ってみたい世界の名所の写真と組み合わせた。
いずれの授業でも、教員が特別な声がけや指導を行うことなく、子どもたちはiPadの使い方を各自で考え、それぞれのベストな方法で活用していた。