法政大学100%出資子会社のエイチ・ユーと、若年層向けの就職支援事業などを展開するジェイックは、法政大学のキャンパス内に、常設の「HU就活エージェント」と「ジェイック事業所」を設置し、業務提携により在学生向けの就職エージェント事業を開始することを発表した。10月18日、同大学の市ヶ谷キャンパス 九段北校舎(東京都千代田区)にて、学内窓口開設式が執り行われた。
「HU就活エージェント」は大学のキャリアセンターとは別にキャンパス内に設置され、学生の就職活動を支援する。エイチ・ユーは、有料職業紹介事業の許可を取得して事務所を開設し、学生に対して就職相談や就活対策講座、求人の紹介、企業面接会の開催など、就職活動の入り口から出口までをワンストップで支援するサービスを無料で提供する。これにより、学生はキャリアセンターによる支援に加えて、就活エージェントの支援を学内で気軽に受けることができ、企業選びの幅を広げることが可能となる。
ジェイックは、エイチ・ユーとの業務提携により、プロの就活エージェントとして就職相談や就活対策講座といったサービスを提供する。ジェイックはおもに大学4年生向けの就職支援サービス「新卒カレッジ」で、全国の大学のキャリアセンターや就職課と連携して学生の就職支援を行っており、法政大学も2012年から支援している。
今回、キャンパス内に就活エージェントが設置される背景には、年々進む就職活動の多様化と、少子化による売り手市場化がある。大学2年生ごろから就職活動を始める学生が増える一方で、4年生の春から就職活動を始める学生も多く、学生が就職活動を始める時期は変化している。さらに、売り手市場であることは、学生が内定を取りやすくなる反面、「いつ就職活動を終えるか」「最終的にどの企業を選ぶか」といった判断を難しくさせることにもつながっている。
こうした環境変化の中、就職活動中の学生に対して今まで以上に寄り添った就活支援をしたいとの思いから、エイチ・ユーは就活エージェントの開設に至った。キャンパス内にプロの就活エージェントが常駐することで、学生は、より質の高い就活支援を気軽に受けることができる。また、支援を受けた学生が内定を獲得することは大学の就職内定率の向上にも寄与する。
このような支援は大学のブランド力向上にも貢献すると考えられる。今後も18歳人口の減少は続き、大学の入学者数確保の難易度は高まることが予想されるため、大学にとってブランド力向上は重要なテーマの一つとなっている。全国に先駆けて、キャンパス内に常設の就活エージェントを設置し、就活支援の新しいカタチを発信することで、「キャリアに強い法政大学」というブランドイメージを高めることを目指す。さらに、法政大学の子会社であるエイチ・ユーが自ら有料職業紹介事業の許可を取得して就活エージェント事業を展開することは、就職支援における企業とのパートナーシップの強化にもつながる。
学内窓口開設式にて、エイチ・ユーの代表取締役である藤野吉成氏は「『HU就活エージェント』のアイデアが誕生してから実際に開設するまで数年がかかった。この取り組みによって、より多くの学生の未来を明るく照らすことができるのではないか」と語った。
法政大学の常務理事である奥山利幸氏は「近年、学生は早期から就活エージェントを活用しており、4年生で就職先が見つかっていない学生もまた、最後のよりどころとして就活エージェントを頼りにしていることを知った。そうした事業は、できれば学内にあることが適切だと感じた」と述べた。
ジェイックの代表取締役である佐藤剛志氏は「学内の一つの機関として就活エージェントがあることは学生の安心感につながる。4年間の学生生活を通して伴走するエージェントになるために、ジェイックも全力を挙げて取り組んでいく」と意気込みを語った。
なお、エイチ・ユーの取締役副社長である中塚雅則氏によると、1学年に7000名ほどいる法政大学の学生のうち、半数以上の約4000名は既存のキャリアセンターを利用していないという。中塚氏は「プロのエージェントからアドバイスを受けられるという価値は非常に高いので、これまでキャリアセンターを利用していなかった学生にぜひ利用してもらいたい。もちろん、すでにキャリアセンターを利用している学生にも、キャリアセンターの後に『HU就活エージェント』へ足を運んでもらえたら」と語った。その上で「4年生の夏以降に内定がない学生が一定数いる中、そうした学生を漏らすことなく支援することが『HU就活エージェント』の最も大きな役割。学生の選択肢を増やし、寄り添っていくエージェントでありたい」と、展望を述べた。
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