インターネットイニシアティブ（IIJ）は、千葉県千葉市のすべての市立学校（小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校）168校が利用する、教育情報ネットワーク「CABINET」の更改案件を千葉市教育委員会から9月1日付で落札したことを、10月16日に発表した。
同案件は、「CABINET」を構成する学習系ネットワークと校務系ネットワーク、およびシステムのリニューアルを目的したもの。新たなデータセンターでの学習・校務システム用の仮想基盤の構築やシステムの移行をはじめ、データセンターからの300Gbpsの帯域保証型インターネット接続環境、学校などの拠点とデータセンターとをそれぞれ1～3Gの専用回線で結ぶWANに加えて、学校などの拠点への7700台以上のネットワーク機器や、提供サービスすべての運用保守とヘルプデスク設置などを行う。これにより、千葉市の学校現場に高度な情報教育を実現するICT環境を包括的に提供する。
なお、300Gbpsの帯域保証型インターネット接続サービスの提供は、同社における単独団体向けの契約としては、ネットワーク事業者を除いて過去最大級となる。
千葉市教育委員会は、1999年から情報教育の高度化、校務作業のICT化による業務効率化を推進すべく、教育情報ネットワーク「CABINET」整備事業を実施。2011年には、市立の小中特別支援学校の全教職員と児童生徒用にパソコンを導入し、大規模なシンクライアントシステムを構築するなど、先進的なICT環境の整備を進めている。
一方で、昨今は教育現場におけるクラウドの学習コンテンツやテレビ会議などの活用が急増したことによって、ネットワーク帯域の不足や遅延といった通信品質に問題が生じるケースが増えてきた。さらに、今後はICTを活用したアクティブラーニングや、デジタル教科書、CBTの本格活用など、高い通信品質を前提とする教育施策を推進していく方針を打ち出している。これらのことから、帯域不足や遅延のない高品質で快適なネットワーク環境の確保が大きな課題となっていた。
今回の「CABINET」更改では、すべての学校などの拠点168か所からそれぞれ1〜3Gbpsの専用回線（帯域保証型WAN）合計271本で同社のデータセンターに接続した上で、データセンターから300Gbpsの帯域保証型回線を経由してインターネットに接続するネットワーク環境を構築する。
拠点ごとにISPを直接接続するローカルブレイクアウトと比較して、利用者側で自由に帯域を制御できるので、高品質で快適なインターネット接続環境の確保が可能になる。また、データセンターには各認証基盤や、学習・校務システムおよびコミュニケーションインフラ基盤、セキュリティ基盤を構築することで、児童生徒をインターネット上の脅威から保護するとともに、学習業務や校務で取り扱う機密性の高いデータの、安全な管理を実現する。
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