カタリバは、校則を起点に対話しつつ、生徒主体の学校をつくる「みんなのルールメイキング」プロジェクトのパートナーである全国の中学・高校の学校教員と生徒を対象に実施した、「何が校則見直しの進度の差を分けるのか?」に関する調査結果を6月27日に発表した。同調査は、2024年11月6日〜2025年2月10日の期間に行われ、232名(教員:108名、生徒:124名)から回答を得ている。
「みんなのルールメイキング」は、カタリバが2019年から取り組んでいるプロジェクト。今回の調査は、対話的な校則・ルールの見直しに取り組んでいる、または取り組みを検討しているパートナー校を対象に実施した。
調査対象者に対し、校則見直しのプロセスに生徒の意見をどの程度取り入れるべきだと思うかを尋ねたところ、調査に参加した生徒の全員が「校則見直しに生徒の意見を反映するべき」(「積極的に取り入れるべき」と「ある程度取り入れるべき」を合わせた割合)と回答した。
一方で、校則見直しにおいて生徒の意見を聞く場は十分に設けられていると感じるかを尋ねた質問では、「とても感じる」(22.6%)と「まあ感じる」(35.5%)を合わせた割合が約6割にとどまっている。
校則見直しにおいて、生徒の意見を聞く場は十分に設けられていると「あまり感じない」(19.4%)または「まったく感じない」(4.8%)と答えた生徒からは、「校則を変えるためのチームがあるだけで個人個人が校則変更を言える立場ではありません。生徒が考えた校則など提案をいう場面が教員などとの面談しかありません」「Googleフォームを通して生徒の意見を聞いてることになってるけど、実際答えてくれている人も少ないし、そのフォームを投げかける回数も少ないから。そしてそこで出た意見を先生に何らかの形で伝えたとしても大人の事情で却下されることもあるから」といった声が寄せられた。

校則見直しの進み具合を分ける要因について分析したところ、意見表明の機会の有無や程度が、進み具合に影響を与える可能性があることが明らかになっている。

生徒の「意見を聞く場が設けられている」という実感は、具体的にどのようなことによって育まれるのかについて、「設けられていると感じる」「設けられていると感じない」の回答理由を詳しくみると、以下のような現状が浮かび上がった。これによると、さまざまな形で生徒の意見を聞く機会や場が設けられている場合は「意見表明の機会がある」と感じられ、逆にそのような機会がない場合は「意見表明の機会がない」と感じられる傾向がある。

校則見直しのプロセスに生徒の意見をどの程度取り入れるべきだと思うかという質問に対する教員の回答では、「積極的に取り入れるべき」(64.8%)と「ある程度取り入れるべき」(31.5%)を合計した「生徒の意見を取り入れるべき」という回答が9割超に達している。

教員からの自由記述回答では、「生徒や新しく異動などで来た先生が校則内容を把握していないという問題が起きています」「私が担当を外れて以降、見直しの傾向から離れていきました。生徒・教員へのアンケートも取らなくなっており、とても残念です」「教員には『管理しないと不安』『管理することが教育である』という考えの方と、『生徒の主体性を重んじるべき』という方と、『勝手にやってくれ』という方が存在」といった声が寄せられた。
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