ポプラ社と日本総合研究所(日本総研)は、2022年7月から長崎市内の4つの市立小学校にて、電子書籍・電子事典サービスを試行的に導入している。そのなかで2022年度末に実施した、同取り組みが児童の読書環境や学習に及ぼす効果などについての調査結果を、8月8日に発表した。
同取り組みでは、ポプラ社の電子書籍読み放題サービス「Yomokka!(よもっか!)」、および電子事典などを閲覧可能な調べ学習応援サービス「Sagasokka!(さがそっか!)」を、対象校で利用されているインターネット接続可能なタブレット端末を通じて、教職員および児童が学校や自宅で自由に利活用することを可能にしている。それぞれの利活用方法については、授業で活用する・しないも含め、個々の教職員の裁量とした。
調査方法としては、児童とその保護者、教職員に対して2月20日~3月3日にアンケート調査を実施(児童48名、保護者25名、教職員20名が回答)したほか、学校全体への影響を把握するため学校長、教頭、図書室担当者に対して3月に対面でのヒアリング調査を実施(導入した4校の学校長、教頭、図書担当者合計5名が回答)。さらに読書行動の変化を把握するため、2022年7月~2023年1月に電子書籍利用冊数を、同取り組み前後(2021年7月~2022年1月および2022年7月~2023年1月)に図書室貸出冊数を計測した。
調査結果によれば、タブレット端末からまざまな書籍を閲覧できるようになったこと、児童がデジタルサービス上の機能に関心を持ちやすいことから、長期休業中やすき間時間、帰宅後などで読書機会の増加につながったことが明らかになっている。また、一度に複数人で同じ書籍が利用可能なため、教職員からは授業や課題で使いやすいと評価された。
電子事典サービスはおもに、授業で専門用語を調べる場面や、調べ学習をする場面で利用された。児童向けのわかりやすい説明があり、図や写真も見られることから、授業で活用しやすいとの評価を得ている。
調査結果では、電子書籍や電子事典サービスはまだ十分に一般社会へ浸透していないことから、学校現場で活用するには教職員が活用方法や活用事例を知る機会を提供するといった、工夫が必要であると指摘した。
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