みんなのコードは、同法人が6月までに学校現場で得た知見に基づいて、今後の「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」改訂に向けて実践・議論の際に留意すべきポイントをまとめ、提言資料「『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン』への見解」を、7月4日に発表した。
同法人は2015年の設立以来、小中高でのプログラミング教育等を中心に情報教育の発展に向けて活動している。生成AIへの注目が高まっていることを受けて、4月には「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」を発表するとともに、学校現場での生成AIを活用した授業などの実践を重ねている。
こうした活動が評価され、文部科学省が7月4日に公表した「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」では、有識者としてヒアリング対象に選出された。同ガイドラインは暫定的なものとされており、機動的に改訂していくことが想定されるため、同法人では今回のガイドラインに対する見解を発表している。
今回、みんなのコードが発表した提言は、以下の4項目で構成されている。
- 情報活用能力を構成する資質・能力を偏りなく育成する
- 既存の情報活用能力との接続を踏まえて、学習を考える
- 適否判断を裏付ける原理原則を整理する
- 実践や議論の際に、ジェンダーバランスを改善する
「情報活用能力を構成する資質・能力を偏りなく育成する」では、生成AIは情報技術のひとつであり、その学習は情報活用能力育成の一環として位置付けられる。児童生徒が情報活用能力を身につけるためには、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力・人間性など」の3つの観点を偏りなく育成する必要があると指摘した。
「既存の情報活用能力との接続を踏まえて、学習を考える」では、生成AIを他の情報技術の学習と切り離して扱ったり、児童生徒の情報活用能力を考慮せずに学習に取り入れたりすることは適切ではないとした。既存の情報活用能力との接続を踏まえて学習を考えることが望ましいと訴えている。
「適否判断を裏付ける原理原則を整理する」では、現時点で生成AIを活用する事例の適否を判断するための原理原則が明らかになっていないことから、パイロット的な取り組みなどから得られた成果・課題などを踏まえて、学校現場が適切に判断できる原理原則を整理していくことが必要との考えを明らかにした。
「実践や議論の際に、ジェンダーバランスを改善する」では、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の作成に関わった有識者にジェンダーバランスの偏りが認められること、兼ねてからAIの学習データにおけるジェンダーバランスの問題が指摘されていることから、今後パイロット校での実践や改訂に向けた議論における、ジェンダーバランス改善の必要性を指摘している。
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