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大学のDX事例紹介

システムの導入だけで大学DXは成功しない──決裁の電子化により業務フローが改善した広島大学


 コロナ禍を機に、大学をはじめとした教育機関でもリモートワークが普及した。それに伴い、決裁においても書面と印鑑を組み合わせた紙ベースから電子決裁へと移行が進んでいる。しかし、決裁の電子化を含めた大学DXの成功には、単にシステムを導入するだけではなく、組織内での仕組みづくりも重要だ。広島大学では2021年の電子決裁システムの導入をきっかけに、それまでの業務フローを見直すことを決断。本稿では、同大学の財務・総務室総務・広報部総務グループに所属する谷氏、北村氏と、大学内の文書管理を担う文書館の北浦氏に、導入による成果を伺った。

「電子決裁システム」の導入自体が本来の目的ではない

 広島大学で取り扱う文書は、公文書管理法に基づき「法人文書」として管理されている。コロナ禍以前は、ほぼすべての法人文書を「紙媒体」で取り扱っていたが、リモートワークが増えたことにより紙媒体では業務が滞るようになったという。

 「コロナ禍以前は、作成した法人文書を印刷して、担当者間で順番に確認・押印し、全員の押印が完了したら紙媒体でパイプファイルに保存する。この一連の流れを、どの部署でも毎日のように行っていました。しかしコロナ禍でそれも難しくなり、1回目の緊急事態宣言の発令期間だった2020年5月から、電子決裁への移行を検討し始めました」と、谷氏は振り返る。

 もともと、内閣府は2019年3月に「行政文書の電子的管理についての基本的な方針」を示しており、その中で「今後作成する行政文書は電子的に管理することを基本」としていた。谷氏らは、法人文書も同様に電子化する必要があることを確認し、さらに検討を進めていった。

 しかし、電子決裁システムの導入だけですべての問題が解決するとは限らない。法人文書の「起案」と「決裁」は「大学の意思として決定」するために行うものでありながら、部署内で上長に「確認」するだけでよいもの、例えば学内向けに送るメールの内容確認なども「決裁」と同様のフローで対応する文化が定着していた。

 この状況で電子決裁システムを導入すると「行わなくてもよい決裁」が今後ほぼ永続的に行われることになり、保存データの容量圧迫にもつながる。そこで、改めて「決裁」すべきものと「確認」でよいものを整理し、「業務フロー」そのものを見直すこととなった。

 また、2020年6月には電子データの保存先である学内共有フォルダが更新され、新しい保存先へデータを移行する必要があった。そこで、まずは法人文書の「分類」「保存期間」「重要度」を記載したフォルダ名を設定し、共有フォルダの体系的な整理から開始。さらに、2021年度以降に作成する法人文書は原則電子保存とする方針を学内に示し、電子決裁の導入前から、紙媒体で起案したものは押印済みの文書をスキャンして共有フォルダに保存することとした。こうした経緯を経て、2021年12月に電子決裁システムである「決裁文書管理アプリ」の導入が完了した。

 北村氏は「以前は担当者が独自のフォルダを作成して保存するケースも散見されたため、改めて法人文書の保存方法について周知を徹底しました。また、『確認』で済むものが『決裁』の対象になっていないか、業務フローの見直しも改めて依頼しました」と語る。その上で「法人文書の保存先を整理し、業務フローを見直しつつ、電子保存を進めることが本来の目的だったので、電子決裁は電子保存を進めるためのオプションという認識でした」と説明した。

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使い慣れた「法人文書管理アプリ」との連携を重視

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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