レスポンは、同社が提供する教育機関向けリアルタイムアンケート・出席管理システム「respon(レスポン)」に、AIの不正利用対策機能を追加することを、4月27日に発表した。同機能は5月中旬にリリースされる。
昨今、教育現場でも ChatGPT をはじめとする生成AIの活用方法についてさまざまな議論がされている。同社はこのような情勢を踏まえ、公正かつ健全な教育のあり方をサポートするため「respon」で実施する小テストやレポートにおけるAIを利用した不正行為を抑止する機能を実装する。
「respon」は、専用のスマートフォンアプリと連動したリアルタイムアンケート・出席管理システムとして2015年にサービスが開始された。すでに60校を超える大学・教育機関で導入・運用されており、教員と学生との双方向コミュニケーションを実現するためのツールとして使われている。
ほかの教育支援ツールと大きく異なるのは「授業中の活用」に重点を置いたサービスである点。教員は授業中の出席確認のほか、アンケート機能を使った理解度確認やリフレクション(振り返り)、さらに小テストやレポートなども実施できる。学生のアンケート回答はリアルタイムに集計され、数字だけでなくグラフで可視化されるため、例えば教員が正解率の低い問題をすぐにチェックしてその場で解説してフォローするという使い方も可能。対面授業での利用はもちろん、一方通行になりがちなオンライン授業やハイブリッド授業を双方向の参加型に変えるツールとしても活用されている。
2023年の年初より「respon」を利用している複数の教員から、学生のAI利用に関する相談が増えた。それらは、ChatGPTなどの生成AIを利用して学生が小テストやレポートの回答を自分で考えることなくコピペして提出してしまうのではないかと懸念されてのものだった。このような教員の声や世の中の情勢を踏まえ、学生の不正なAI利用を抑止するために同機能の開発に至った。
同機能では、小テストやレポートの回答画面における学生の操作に対して教員が複数の制限を設けることが可能。例えば、問題文のテキストをコピーしたり自由記入の回答欄にペーストしたりといった操作が制限の対象となる。授業中に出された課題に対して学生がコピーやペーストをできないだけでも、AIツールの利用を抑止する効果があると考えられる。同機能は、教員が「respon」で作成する小テストやレポートごとに設定できる。対策のレベルも複数用意されており、学生の回答手段を「respon」アプリのみに限定することも可能。教員は課題内容に合わせて自由に選択できる。
なお同機能はAIを利用した不正の抑止を目的としたものだが、同社では教員がAIを使って「respon」をより便利に活用できる機能の開発も進めている。また「respon」は学校単位や学部単位で導入する「エンタープライズプラン」のほかに、教員が個人で利用できる低価格な「教員向けプラン」(最大4つの授業で利用可能)もある。
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