小学生5人が自作アプリをプレゼンテーション
登壇したのは、小学3年生から5年生(3月時点)までの5人。Kids Creator's Studioでは、最初の4カ月でiOS向けのプログラミング言語「Swift」を使ったアプリ開発を学ぶ。その後、サイバーエージェント所属の現役デザイナーからデザインについてのアドバイスを受け、アドビが提供するクリエイティブツールも活用。合計100時間のプログラムの中でそれぞれのアプリを作り上げる。報告会では一人ずつ壇上に上がり、資料も自らKeynoteで作ったものを提示。落ち着いた口調で自身の開発した作品を紹介した。
冒頭にあいさつをした株式会社CA Tech Kids 代表取締役社長の上野朝大氏は、「テクノロジーを武器として自らのアイデアを実現し、社会へ能動的に働きかける人材を育てたい」と語る。これまで、プログラミングスクール「Tech Kids School」で多くの小学生プログラマーを育ててきた上野氏。その中で、「頭の中にあるアイデアを形にして、もっと作品を生み出してみたい」「プログラミングを学んでゲームを作れるようになったけれど、キャラクター画像も自分で描けるようになりたい」といった言葉が、子どもたちから飛び出したという。そうした声を受けて、アドビと共同で運営するKids Creator's Studioが生まれたのだ。
「お母さんの家事を楽に」をかなえる料理アプリ
1人目の登壇者は、小学4年生の吉田たくとさん。小学2年生からプログラミングに興味を持ち、現在もスクールに通うプログラミング歴2年の男の子だ。バスケや運動が好きな一方で、「幼稚園の頃に、お母さんのパソコンを壊してしまった」というほどのパソコン好きの吉田さんは、お母さんを助けるために料理のアプリを開発した。
食材を決めると、その食材を使ったおすすめの料理が紹介される「たべガチャ」は、ガチャガチャマシン風のデザインを取り入れ、子どもならではの自由な発想と遊び心にあふれている。
工夫した点として、吉田さんは「肉はピンク、野菜は緑といった、イメージカラーを統一した」ことを挙げる。半年間のプログラムを体験して、「デザインとはいろいろなことをわかりやすくするもので、アプリを作る時にも非常に役立つことがわかった」と話した。
「難しいプログラムを書くのはすごく楽しい!」
2人目は小学3年生の斉藤みりさんで、プログラミング歴は同じく2年。絵を描くことが大好きな斉藤さんは、イラストやデザインへの高い関心を持っており、漫画教室にも通っている。また、ネットでのライブ配信を毎日行っており、「小学生のうちに起業したい」というほどの意欲を持つ。
開発したアプリは「eatDaily(イートデイリー)」。うっかり同じ料理を出してしまうというお母さんのために、作った料理を記録するアプリを作成した。
「eatDaily」は料理を写真で記録できるほか、家族がその料理に対して「おいしい」や「いつもの味」といった評価をできる点が特徴だ。「後から評価を確認して、今後どのような料理を作ればいいのか、どこを改良すればよいのかがわかる」と斉藤さんは話す。
工夫として挙げたのがデザインだ。食欲をそそるオレンジ色をテーマカラーとし、イラストレーターでアプリのアイコンなどをデザインした際には「どうやったらおいしく見えるか考えて描いた」という。
「Kids Creator's Studioで学んだことで、ものの見方が変わり、街の看板やペットボトルのデザインなども注意して見るようになった。そして、プログラミングに関しても、コードを組み合わせるだけでなく、自分で考えて書く経験をして、考え方が大きく変わった。難しいプログラムを書くのは、すごく楽しいし気持ちがいいです」と、笑顔で語った。