キャリア教育とは何なのか?
キャリア教育が重要である、ということは、言うまでもない事実だと思います。
では、なぜキャリア教育が重要なのか。この問いに対する回答は人それぞれの考えがあると思います。ここでは、あくまで私個人が考える「キャリア教育が重要な理由」を述べたいと思います。
キャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」です。また、この「キャリア発達」とは、「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程」と解釈できます(注1)。
(注1) キャリア教育・キャリア発達の定義ともに、中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)(PDF)」(平成23年1月31日)、16ページより。
つまり2つを合わせると、キャリア教育とは、「社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の育成を通して自分らしい生き方の実現を促す教育」である、ということです。
では、このキャリア教育を実現するためには何が必要でしょうか?
私が考えるのは、キャリア教育では「さまざまな職業の大人と触れ合い、主体的に学ぶ意欲を育てること」が重要だということです。
現代社会はインターネットやテレビを通じた情報があふれています。仕事や産業の分業化や機械化が進み、新たな産業が生まれている昨今、大人と子どもの生活圏が分断され、子どもが日常的に仕事をする大人の姿を目にする機会が少なくなっているのではないでしょうか。
実体験をもとにした職業観が身に付くことなく大人になるのが現代。だからこそ、学校教育の中で、さまざまな職業の大人と触れ合い、主体的に学ぶ意欲を育てる必要がある、と考えているのです。意識的に職業やキャリアを学ぶ機会を導入する必要があるのです。
ただし、短期間の単純な「体験」は一つのきっかけにはなりますが、深い学びにはつながらないとも考えています。
先ほど、キャリア教育とは「社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の育成を通して自分らしい生き方の実現を促す教育」であると述べました。
自分らしい生き方を実現するために、たった一回の体験だけですべての回答が導きだせるとは考えづらいものがあります。つまり、短期間の単発の「体験」から内省する、自分の興味関心に気付き、そしてそれを繰り返すことで、少しずつ「自分らしい生き方」を理解できるようになるのではないでしょうか。
一回体験したから終わりではなく、何度も何度も長期間の継続的な「経験」に昇華させることが、キャリア教育にとって必要だと感じています。
学校教育において、そのような環境を創り続けることがキャリア教育の実現に必要なのではないでしょうか?
ここからは、具体的な解決策を述べていきたいと思います。