【芝浦工業大学】学生の「学びの心に火をともす」ラーニングアナリティクスによる教育改革
芝浦工業大学は「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」の建学の精神を現在も引き継ぎ、実学重視の技術者育成教育を堅持している。そして、2027年の創立100周年へ向け、アジア工科系大学のトップ10に入るという目標を設定し、その実現に向けて5つの取り組み「Centennial SIT Action」を据えた。
同大学の副学長である渡部英二氏は「教育、研究、グローバル、多様性、そして教職学協働という5つの取り組みを、ビッグデータ、クラウド、IoT、AIなどデジタル技術の推進を通し強化している。世界に向けて胸を張れるような理工大学となるべく、着々と成果を上げつつある」と意気込みを語る。
Centennial SIT Actionの取り組みのひとつである「理工学教育日本一」に向けては「『学生の学びの心に火をともす』ラーニングアナリティクスによる教育改革」を掲げ、以下の3つのDXを推進している。
- LTIによる学修システムのDX
- 学修情報のDX
- 学修成果のDX
「Learning Tools Interoperability(LTI)による学修システムのDX」推進では、学修支援システムである「Scomb(スコーム)」を「ScombZ(スコーム・ツー)」にアップグレードし、これまで連携していなかった機器・デバイス・ソフトを、LTIにより密に統合することができる環境を整えた。LTIとは、IMS Global Learning Consortiumが策定した、異なるLMS間で相互運用を可能とする標準規格である。
「学修情報のDX」推進では、さまざまなシステム・デバイス・センサーからラーニングレコードストア(LRS)に学修データを蓄積できる環境を構築。また、学生側を映すカメラや教室内の環境(温度、湿度、二酸化炭素濃度)が記録できる環境センサーシステムを、豊洲・大宮キャンパスの全教室に導入した。
製図やデザイン関連の科目の遠隔授業では、解像度の高いカメラを利用し、ブレなく配信する必要がある。それを実現するため、教員と仕様の検討を重ねた上で特注スタンドカメラを発注・購入。
さらに、学修成果および教育成果の可視化用にデジタル教材配信システムである「LEAFシステム」(BookRoll・LAView)を導入した。
「学修成果のDX」推進では、RECSIE(一般社団法人国際教育研究コンソーシアム)を通じて、Digitary社のプラットフォームを使用し、デジタル証明書・デジタルバッチを発行できる環境を構築した。また、授業科目レベルの教育成果の可視化用にLEAFシステム(LAView)を導入した。
各取り組みについては次章で詳しく解説する。