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ICT支援員さんと一緒に新しい一歩を踏み出そう

学校とICT支援員の連携がうまくいく! 信頼関係を構築するコツとは

ICT支援員さんと一緒に新しい一歩を踏み出そう 第2回

 あなたはICT支援員という仕事をご存じですか? 学校現場で、先生や児童生徒がICT機器をスムーズに活用するために支援を行うのが「ICT(情報通信技術)支援員」です。本連載では、ICT支援員の育成に取り組む筆者が、主に教職員の皆さまに向けて「ICT支援員とは何か」を改めて解説します。第2回では、学校とICT支援員の連携がうまくいくためのポイントをお伝えします。

ICT支援員は特殊な仕事

 GIGAスクール構想の開始よりもかなり以前から、ICT支援員以外にも学校のICT機器の環境保全や、先生への研修を行う外部人材は、保守作業員や研修講師といったさまざまな形で学校に関わってきました。しかし、その中でもICT支援員という仕事は非常に特殊であると言えます。

 なぜならほかの仕事と異なり、

  • 定期的に訪問することができる
  • 朝から夕方まで長時間校内に滞在することができる
  • 先生のさまざまな疑問を直接聞き取ることができる
  • サポート役として授業に参加できる
  • 先生の校務のサポートができる
  • 学校行事にも関わることができる
  • 校内をおおむね自由に移動できる
  • 支援報告を教育委員会と共有できる

など、こんなにもたくさんのことができるからです。

学校とICT支援員の連携が進まない原因

 ICT支援員はその特殊な性質から、先生のICT活用を支えるためであれば、さまざまなシーンでのサポートが可能です。しかし地域や学校によっては「ICT支援員とうまく連携できていない」などの声を聞くことがあります。それには大きく2つの原因が考えられます。

あまり知られていないICT支援員という仕事

 1つ目は、GIGAスクール構想による急激なニーズの高まりによって急きょ新しい人材が募集されたため、この仕事に初めて就いた人が多数いることです。雇用する側も、入札制度の関係で募集から初回訪問までの期間を十分に確保できないことが多く、ICT支援の目的について的確に伝え、学校での振る舞い方や、学校で必要になる特殊な機器やアプリケーションについて勉強してもらう体制も不十分と言わざるを得ません。教育関係者にとっては当たり前の話題だったとしても、教育現場で働いたことがない一般の人から見れば「学校のICT活用を支援する」という仕事はまったく未知のものです。

 またICT支援事業の契約が1年単位の場合、翌年には交代になってしまうことも問題だと言えます。学校との間に1年かけて築いた信頼関係が、これからというときに断ち切られてしまうのです。そのため、ICT支援員はなるべく早くスキルを身につけなくてはなりません。先生に満足いただける知識量と即答性を得るには、走りながら学ぶ仕組み、つまり定期的な研修が必要なのです。

教育委員会のバックアップが重要

 ICT支援員という仕事は一般的にはあまりなじみのない仕事です。希望者でさえ、知識が十分でないまま応募している可能性があります。だからこそ、ICT支援員を(業務委託を含め)雇用する立場である教育委員会は、業務内容をしっかりと把握した上で、研修などの十分なバックアップを行うことが重要です。

 ICT支援員を雇用する場合、事前研修だけでなく、その後もICT支援員を日常的にサポートできる体制を準備する必要があります。ICT支援経験者だとしても、ブランクがあったり自治体が異なったりすれば学ぶべきことは少なくないのです。もちろんこれらの研修はそれぞれの自治体が実態に合った形で行う必要があり、教育委員会でICT支援事業予算の中に組み込む必要があります。また勤務期間についても、1年で交代するような事態は避けるべきでしょう。

 事前研修では、特に以下の内容が重要です。

  • 派遣先の学校で使われるICT機器やアプリケーションの基本操作と主な使い方
  • ICT支援員という仕事の役割や立ち位置
  • 学校での先生や児童生徒に対する振る舞い方
  • ICT支援員が学校で行ってよいこと・禁止事項の確認(自治体の運用規則など)
  • ICT支援員の情報モラルとセキュリティ

 最低でもこれらの研修は実施するようにしましょう。研修やミーティングは初回だけでなく、先述の通り勤務期間中もなるべく定期的に行う必要があります。

 さらにICT支援員が自治体独自の運用ルールについて判断に困った際、相談できる窓口がない場合は独断で支援を行ってしまい問題が発生するかもしれません。そのため、教育委員会が必ず窓口を設けるようにしましょう。

 学校のICT支援に対する不満の多くはコミュニケーション不足から起こります。また、ICT支援員側も学校への理解が足りないことでトラブルにつながります。もちろん、それぞれの学校にローカルルールがあり、一朝一夕で学校の一員になれるものではありませんが、学校特有の配慮すべき点を研修で学んだのちに訪問できれば、トラブルは発生しづらくなるでしょう。

学校もICT支援員の業務内容を把握できていない

 2つ目は、GIGAスクール構想の到来と共にICT支援員を配置する自治体が急激に増えたにも関わらず、ICT支援員がどのような仕事なのか、現場の先生に正しく伝わっていないことが挙げられます。これまでICT活用は先生個人に任されており、得意な先生は新しいものを次々に取り入れる一方で、苦手な先生は授業でまったく使っていませんでした。そのため、一概に「支援する」と言われても先生ごとにイメージが大きく異なり、「頼んでよいこと」と「頼めないこと」の線引きもバラバラだったのです。

 私も「え! そんなことを頼んでいいんですか?」というセリフを何度も耳にしています。レギュラーメニューの支援をできないことだと勘違いして頼めずにいた先生がいた一方で、そうかと思えば絶対にできないことを依頼されることもありました。

 大切なのはICT支援員の仕事はどのようなもので何を支援してもらえるのか、しっかりと現場の先生にご理解いただくことです。ただしICT支援員の業務内容は、それぞれの自治体が決めた予算や仕様、さらに業務委託の場合はその企業によって異なるため、ご注意ください。

教育委員会から学校への周知が必要

 教育委員会はICT支援員を配置した際に、各学校へ契約に沿った業務内容を正確に伝え、先生方に間違ったイメージを植え付けないように、また可能な限り余すことなく活用できるよう準備しなければなりません。各学校の先生に対し、ICT支援員に相談できることとできないことを一覧にするなどして、周知しておくことをおすすめします。ICT支援員のスキルのせいではなく、コンプライアンスを理由に支援できないケースもあることを明示してください。この部分が意外とトラブルの元になりがちです。

 また重要となるのが、勤務規定です。多くのICT支援員は契約上決まった時間だけ学校に滞在します。事前の相談なく、学校や先生個人の都合で規定よりも長くICT支援員を勤務させたり、休日などに出勤させたりすることはできません。また職員会議のため早く帰らせるなど、学校都合で支援日時を変更してほしい場合はどのような手続きをとるのかについても、教育委員会で検討しておく必要があります。

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ICT支援員が活躍できる学校の特徴は?

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この記事の著者

五十嵐 晶子(合同会社かんがえる 代表)(イガラシ アキコ)

 2000年頃より小中学校の情報アドバイザーを始める。大手教育ICTのベンダーに所属し、大学ヘルプデスクから神奈川県を中心に小中高校のICT導入研修会講師とICT支援員、ICT支援員運用コーディネーター等、学校ICTの導入と活用に関わる。  2020年3月に独立し「合同会社かんがえる」を創業。情報...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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