なぜ今、ICT支援員が必要とされているのか
ICT支援員という言葉が話題に上るようになったのはここ数年のことです。しかし実際は、学校では以前からコンピューターが使われてきました。そしてその活用を支える外部人材は、この名前で呼ばれるもっと前から、学校現場でコンピューターを使う業務を支えていたのです。ですが当時は数も少なく、そのような仕事を知る人はあまり多くありませんでした。
しかし今、「GIGAスクール構想」により、学校へ一気にPC・タブレット端末が導入されました。学校で管理する必要のあるICT機器が爆発的に増えて、ICT活用が日常となるにつれ、「ICT支援員」の存在が脚光を浴びるようになってきました。
どのような目的でICT支援員が生まれたのかを知るには「ICT支援員ハンドブック」が参考になります。
こちらは平成25年のものですが、現在もICT支援員に求められる「資質」自体は大きくは変わっていません。もちろん、使用しているICT機器は当時から数もスタイルも大幅に変化しています。ですが、先生を支援するために、学校というものを理解し、ICT機器の基本的な知識を身につけ、先生が少しでも多くこのICTの恩恵を受けられるように質問に答え、調べ、さらに提案をすることが重要であるのは同じです。そして、それだけのスキルを習得することは容易ではありません。
GIGAスクール構想によって、予算がつき、話題に上るようになったことで、ICT支援員は全国的に増えました。本来3年計画で導入されるはずの端末が、前倒しとなる形により1年で導入されたため、これまでゆっくりと進んでいた教育の情報化も加速しつつあります。これまでとは違う状況に、現場サポートへのニーズも高まったと言えるでしょう。
現在活躍しているICT支援員の例として、最近では文部科学省が「ICT 支援員の配置状況と支援事例等」として情報を公開しています。
実はこれまで、このICT支援員という仕事は、明確な職業として規定されていませんでした。しかし2021年8月23日、文部科学省は学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について通知し、ICT支援員は「情報通信技術支援員」という名称で規定されました。この動きはICTをサポートする人材の予算を確保する上でも非常に重要なことです。
これにより、期待される業務を明確にしていく必要が出てきました。名称は変わりましたが、一般的にはICT支援員と呼ばれているため、ここでは「ICT支援員」と記載します。