1人1台端末の整備によって実現する協働授業
GIGAスクール構想の実現に伴い、全国の小中学校で端末配備やプロジェクター設置、Wi-Fi環境の整備などが急速に進んでいます。滋賀県でも、小中学校に続いて来年度から、県立高校全体で1人1台端末を活用する方針が決まっています。しかし、実際に職員室でこの話題になると「どう活用するの?」「でも購入する以上は有効活用しないと……」「どうやって?」といった声が飛び交っているのではないでしょうか。
2020年の全国一斉休校の際、オンライン授業やZoom配信といった言葉が注目を集めましたが、各校に1人もしくは複数名、こういった分野に長けた教員がいるかいないかが、結果として学校間の取り組みの差につながったのではないかと思います。GIGAスクール構想でも、どう使うか、使って何ができるのかを把握した上で活用することで、まるでドラえもんのひみつ道具を使用しているかのごとく、今までは想像でしかなかったことが現実にできるようになります。
今回は、端末などの整備が進んだからこそできるようになった、授業でのアプリ活用法と、学校間をつないで学ぶ協働授業モデルを紹介します。
学びにゲーム要素を――クイズアプリ「Kahoot!」の活用
どの教科にも共通していると思いますが、各単元で目標としている知識や力がどの程度身についているのか、それを一度で把握するのは、なかなか難しいと思います。その結果、小テストもしくは定期テストで確認するわけですが、テストと聞くと、それだけで身構えてしまう、もしくは苦手意識を持ってしまう児童生徒も多いのではないでしょうか。
「Kahoot!(カフート)」は、ゲーム形式で学習を進めることのできる学習プラットフォームで、教員がWeb上に選択式のクイズ問題を作成できます。ゲームの要素を学習に取り入れる利点のひとつは、すぐにフィードバックを得られることです(この場合のフィードバックとは、生徒が自分の答えの正誤を即座に知ることができる点を指します)。また、単なるゲーム要素での学びにとどまらず、各児童生徒の正答率や、各問に要した時間、そしてクラス全体で正答率が低かった問題を記録として残してくれるため、クラス全体の個々の生徒の理解度を一目で把握できます。
授業では、まず児童生徒一人ひとりが、各自の端末でKahoot!アプリを立ち上げるか、もしくはWebブラウザで「https://kahoot.it/」にアクセスします。その後、7桁のゲームPINを入力し、プレイヤー名を設定して、クイズ画面に入ります。
クイズがスタートすると、あとは回答の速度や正答率で各生徒のスコアが決まっていきます。問題を1つ終えるごとに、正答者数と上位ランキングが表示され、問題によってはスコアを2倍に設定することもできるため、大いに盛り上がります。
私は英語科の教員ですが、単元の最後のまとめの活動として時折導入しています。各クイズの問いも選択肢もすべて英語ですが、スコアや順位がかかったゲーム要素があるため、生徒はこちらが見ていて面白くなるほど真剣に取り組みます。正答者が少なかった問いの場合は、次の問いに行くまでに確認や振り返りをします。
授業後は空いている時間に各クラスの記録を確認するのですが、1学期に実施した際は、教科書と同じ単語が使われた問いは正答率が比較的高く、少し言い換えをしていたり、類推が含まれていたりする問いは、正答率が比較的低くなっていたことがわかりました。この結果を基に、次の授業の目標設定と指導を行っていきます。すると、小テストを採点する時間も分析する時間も省けて、時間の有効活用にもつながります。