最新データから見る高校での不登校・中退の現状――義務教育ではない自由と責任
第1回の記事では、小学校・中学校の不登校について見ていきました。第2回の今回は、高校における不登校・中退の現状とその支援方法について考えていきます。
小学校・中学校と高校の大きな違い、それは義務教育か否かです。日本では、中学校卒業者の約99%が高校に進学しますが、高校は義務教育ではありません。高校では、不登校(出席日数不足)が留年につながり、中退という選択肢が出てきます。そのため高校において、生徒が直面する問題は中退するかどうかとなり、そこに焦点が当たります。高校は制度上、大学に近い存在です。小学校・中学校では、極論、出席日数が0でも卒業をすることは可能です。
政府統計から、高校生を取り巻く状況を解説していきます。
- 図1は文部科学省(2020)「令和2年度 学校基本調査」をもとに筆者が作成
まず中学卒業後の進路という点では、高校進学率は約99%まで上昇している一方で、少子化の影響により、高校進学者数自体は20年間で約30万人減少しています。将来を担う若い世代が減る中で、今の日本の経済・生活水準を維持・向上していくためには、子どもたちへの教育がますます重要となることは言うまでもありません。
次に、率と数の両面で、高校の不登校・中退の現状を見ていきます。
- 図2~5は文部科学省(2021)「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」をもとに筆者が作成
高校の不登校については、生徒全体の1%程度で、中学校の不登校の約4%よりも割合としては低くなっています。高校では、出席日数の不足が留年や中退に直結するため、長期欠席以前に中退という選択肢が出てきます。また、不登校生徒のうちの約5人に1人が中退につながっているということも事実です。
そして、高校の中退率については減少傾向が続き、20年前は約2%だった中退率は、令和2年度には約1%となっています。高校の生徒数自体も減っていることから、令和2年度には約3万5000人まで中退者数は減少し、20年前の半分以下となっています。
高校の学年別中退率の推移を見ると、異なった側面が見えてきます。高校1年生での中退率が最も高く、学年が上がるにつれて減少する傾向となっています。いわゆる中1ギャップで生じる問題と同様に、高校1年生でうまく学校に馴染むことができるかが重要ということが示唆されます。