中学校では1クラス1人が当たり前? 最新データから見る小中学校における不登校の現状
そもそも、不登校とはどのように定義されているのでしょうか? 文部科学省によれば、次の通り定義されています。
長期欠席者(年度間に30日以上登校しなかった児童生徒)のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、病気や経済的理由、新型コロナウイルスの感染回避による者を除く)
- 文部科学省(2021)「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」より一部抜粋
不登校の定義上のポイントとしては、以下の2点になります。
- 年度間に30日以上の欠席
- 病気や経済的理由、新型コロナウイルス感染回避によるものではないこと
なお、2.の新型コロナウイルスに関する表記は、令和2年度の調査で初めて記載されています。
実際に、文部科学省が毎年公表している統計データから、小学校・中学校における不登校児童生徒数の推移を見てみます。
- 図1~3はすべて文部科学省(2021)「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」をもとに筆者が作成
図より、以下3点のことがわかります。
- 不登校の児童生徒数は30年にわたり増加傾向で、約20万人に。特に直近5年間で急増
- 小学校で約100人に1人、中学校で約25人に1人が不登校
- 中1ギャップの存在(小学6年生から中学1年生の間で不登校の児童生徒数が約1.8倍)
不登校の児童生徒は増加の一途をたどり、令和2年度には、19万6127人となっています。小学校は約100人に1人ということから、あまり多くないという印象を抱かれるかもしれませんが、中学校では約25人に1人が不登校であり、1クラスにつき1人不登校の生徒がいる計算となります。つまり、何も特別なことではないのです。
この客観的な数字を知っているだけでも「なぜ私のクラスに?」「なぜ私の子どもだけが?」そして最も悩み・苦しんでいる当事者である児童生徒の「なぜ私だけが?」といった考えが少し和らぐのではないでしょうか。見方を少し変えれば、過去に不登校を経験し、今は社会人として生活している方もたくさんいらっしゃるということでもあります。