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今日からできる! ICTで始める教員の働き方改革

第8回 EdTezhZineオンラインセミナー「ICTで効率化しよう! GIGA時代の教員の働き方」

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2021/11/12 07:00

 「学校内でICT活用の理解が得られない」「GIGA端末が整備されたものの、具体的にどうしたら……?」「クラウド活用ができない」――1人1台の端末整備が整い、いよいよ活用となった2021年度、学校現場ではさまざまな問題に直面している。苦手意識を持ちながらもICT活用に奮闘している教員も多い。では、実際にICTをどう活用すれば生かすことができるのか。マイクロソフト認定教育イノベーターエキスパートをはじめ多数の肩書を持つ、青森県つがる市立森田小学校の前多昌顕教諭は、校務や授業にさまざまなICTツールを活用し、業務の効率化とより良い学びにつなげてきた。今回のセミナーでは、前多教諭がこれまで行ってきた効果的な実践例をもとに、ICT活用の3つのポイントを紹介いただいた。

青森県つがる市立森田小学校 前多昌顕(まえた・まさあき)教諭
青森県つがる市立森田小学校 前多昌顕(まえた・まさあき)教諭

「デジタルでもできることはまずデジタルでやってみよう」

 現在、青森県つがる市立森田小学校で6年生の担任を務める前多昌顕教諭は、マイクロソフト認定教育イノベーターエキスパート、日本初のFlipgrid認定教員レベル3、Google認定教育者レベル2、embot認定ティーチャーなど、ICT教育に関する多数の肩書(資格)を持つ。前多教諭によると「肩書がたくさんあることで、説得力をもって聞いてもらうことができる」という。また、青森県プログラミング教育研究会で発起人兼事務局長を務めるなど、学校を越えた発信や交流を意欲的に行い、EdTechZineにもFlipgridに関する複数の記事が掲載されている。

マイクロソフトやGoogleの認定教育者などの資格を持っていることを「肩書武装」と話す前多教諭
マイクロソフトやGoogleの認定教育者などの資格を持っていることを「肩書武装」と話す前多教諭

 前多教諭はセミナーの冒頭で「デジタルでもアナログでもできることは、まずデジタルでやりましょう」と宣言。「教員は板書が苦手だと許されないのに、ICTに限っては『苦手』とか『必要ない』と言える空気がある。私たちの世代の教員はICTを使わなくても何とかなるかもしれないが、活用しなければ子どもたちが困る事態になる」と話した。

 そして「1人働き方改革」として、まだICT環境が整わない時代から自分1人でICTを積極的に活用し、多くの効果を生み出してきた経験から、ICTで業務を改革する5つの視点を紹介した。

前多教諭による「ICTで業務を改革する5つの視点」

  1. ICTで業務の効率を高める(個人活用)
  2. ICTでチームの生産性を高める(組織活用)
  3. ICTで学級経営の質を高める
  4. ICTで授業の質を高める
  5. ICTに関する自己の知識を研鑽する

 今回は、この中から特に働き方改革に直結する「個人の業務効率を高める」「チームの生産性を高める」「自己の知識を研鑽する」の3つの視点について、実例を交えて解説していく。

個人活用からICTの業務効率を高める

 1つ目のポイントは、ICT活用で個人の業務効率化をはかることだ。

 「まずは自分ひとりでできることから始めればいい」として、前多教諭は「主任や管理職の承認を得なくても、自分だけでできることを進めていくことで、時間の余裕が生まれる。まず自分を変えなければ、その後のチーム展開もできない」と話した。

 しかし、新しいことを手に入れようとする場合、一時的な生産性の低下も覚悟しなければいけない。「低下したとしても、時間は必ずその分もどってくるので、諦めないで進んでほしい」と、前多教諭はアドバイスした。

 前多教諭が事例として挙げたのは「自腹で時間を買う」という方法だ。

前多教諭の職員室の机には、ノートPCに、あまっていた外付けキーボードと中古のサブディスプレイを接続している
前多教諭の職員室の机には、ノートPCに、あまっていた外付けキーボードと中古のサブディスプレイを接続している

 パソコン室の設備に余剰がある学校であれば、管理職や教育委員会などに相談して、使われていないキーボードやディスプレイを活用するのも無駄のない方法だ。ちなみに、前多教諭が効率化のためにかけた金額は、キーボードとサブディスプレイで5000円以下。「中古のキーボードとサブディスプレイを使ったので、安価にそろえられた。これだけで本当に生産性が大きく向上する」として、自分ひとりの業務改善を進める方法のひとつを紹介した。

ICT活用の良い結果を見せることで流れをつくる

 個人の業務改善をある程度進めることができたら、次の段階が「チームの生産性を高める」ことだ。

 今年度から森田小学校に赴任した前多教諭は、ICT活用のひとつとして、主任と管理職の許可を得て、クラブ活動の担当決めのシステムに「Googleフォーム」を導入した。「『今年はフォームのみで、紙提出は認めません』と先生方に言ったら、一瞬職員室がざわついた。そこで実際にフォームを使っていただき、即集計した結果をお見せした。『今でやってきたことが、こんなに簡単にできる』ということを見せつけることが論より証拠となり『ICTもいいかも……』という雰囲気にすることができた」と、成果を語った。

 それでもICT活用を強固に拒む教員に対しては、良さを力説するのではなく、ICT活用による業務改善の恩恵を受けられるお膳立てをするほうが効果的だという。「ICT担当の負担は一時的に増えるかもしれないが、苦手な人が反対派にまわってしまうと、結果としてもっと苦労することになる」と前多教諭は警告。「できるだけ職員室内でのイザコザを起こさないためにも、みんなが乗りやすいICT活用のレールを敷くことは、ゆくゆくは自分のためになる」と助言した。


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著者プロフィール

  • 相川 いずみ(アイカワ イズミ)

     教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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