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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechビジョナリーインタビュー

IT分野に女性が少ないと何が起きる? Waffle田中沙弥果氏と斎藤明日美氏による、女子中高生の可能性を広げる活動

EdTechビジョナリーインタビュー 第15回

 デジタル化社会を担う人材の育成が国家的課題となる中、日本におけるIT技術者の女性は約2割と言われ、圧倒的に少ない。大学で理数系分野を専攻する女子も少数派で、中高生の時点でも文系偏向なのは明らかだ。こうした状況に危機感を抱き、女子中高生限定のコーディング学習の場「Waffle Camp」の運営を手掛けている一般社団法人Waffle。同法人は第4回「ジャパンSDGsアワード」の特別賞(SDGsパートナーシップ賞)を受賞し、代表の田中沙弥果氏と共同代表の斎藤明日美氏は、『Forbes JAPAN』が選ぶ「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2020」(世界を変える30歳未満30人の日本人)のソーシャル部門を受賞するなど、注目を集めている。なぜ、あえて対象を女子に限定するのか。また、目指しているものは何か。設立の目的や今後の展望について、お2人に話を伺った。

女性技術者が少ないのはなぜ? 中学生から始まるジェンダーギャップ

――Waffleは、女子中高生に特化したプログラミング教育事業を展開されています。どのような経緯で設立に至ったのでしょうか。お2人の経歴をそれぞれお聞かせいただけますか。

田中氏(以下敬称略):ITの世界に興味を持ったのは、ポスト・シリコンバレーとも言われる米国のオースティン近郊への留学がきっかけです。そこで「テクノロジー業界で働きたい」と考えるようになり、帰国後はテレビ制作会社に入社したのですが、厳しい徒弟制度に違和感を覚えて1カ月で辞めてしまいました。そこで、まずは技術力を身につけようとプログラミングを学ぶうちに、自分で何かをつくるよりも、プログラミングの可能性を世の中に広く伝えたいと思うようになったんです。でも、当時は経験もなければ支援者もいないため、2017年に特定非営利活動法人みんなのコードへ入職して経験を積みつつ、起業を目指すことにしました。

一般社団法人Waffle Co-Founder/CEO 田中沙弥果氏
一般社団法人Waffle Co-Founder/CEO 田中沙弥果氏

 みんなのコードは公教育でのプログラミング教育を推進するNPOで、行政や企業と連携しながら、学校の先生を中心に支援活動を行っています。私もその活動を通じて、たくさんの子どもたちがプログラミングに取り組む様子を見てきました。その中で、小学生では男女差がほとんどなく、女子も男子と同じようにゲームやパソコンに親しんでいるのに、中学生になると熱心に取り組むのは20対1くらいで男子に偏ることにハッとさせられたんです。「あんなに夢中になっていた女子はどこにいったの?」と。以前から女性技術者の少なさに疑問を感じていましたが、「女性技術者が少ないのは、中高生の進路選択から始まっているのではないか」と考えるようになりました。そして、副業で行っていた活動を2019年11月に法人化し、本格的な活動を始めました。

斎藤氏(以下敬称略):私はもともと大学の農学部で経済学を専攻し、研究の中でデータ分析を行ううちに関心が移り、データサイエンティストとしてIT企業に就職しました。理数系に進学する人が一定数いる私立の中高一貫の女子校出身だったこともあって、就職して改めて日本企業における技術職の女性の少なさに驚くとともに、違和感を抱くようになりました。また、米国の大学院への留学の経験からジェンダーへの意識が高かったこともあり、「これは何とかしなくては!」と考え、会社内に女性のグループを立ち上げエンパワーメントしたり、管理職人数の目標提示活動などを行ったりしていました。

一般社団法人Waffle Co-Founder 斎藤明日美氏
一般社団法人Waffle Co-Founder 斎藤明日美氏

 その後、スタートアップに転職しても6人のチームのうち女性は私1人で、女性の技術者を採用したくても、上がってくるレジュメは男性のものばかり。特に日本人の女性からの応募は皆無でした。改めて「採用したくても、女性の技術者がいないんだ!」と愕然としました。ちょうどそのころ、田中とTwitterで出会って意見交換をする仲になり、あるイベントをきっかけに共同創業者として深く関わるようになりました。創業後はしばらく不定期のイベントを開催するなどの活動を行っていましたが、女子中高生への支援を継続的に行う場が必要だと感じて、2020年5月から私もフルタイムで参加することにしたんです。

――あえて、女子中高生にターゲットを絞ったのはなぜですか。

斎藤:最初は、採用したくても女性技術者がいない、それなら大学生に働きかけなければと思ったんです。しかし、理数系分野に進学する女子がそもそも少なく、文部科学省の調査によると工学部の学生は約15%、理工学部でも約28%しかいないんです。そして高校生だと早い人は1年生の段階からすでに文系・理系の選択を意識して勉強しているので、中学生のうちから意識づけしないと女性技術者が増えないことに気づかされました。

田中:そう、私が小学生側からアプローチしていって「あれ? 中高生でいきなり減った!」と感じたのとは逆からの視点ですね。そして2人の見解が一致し、「やっぱり中学生の段階からなんとかしなければ」との結論に至りました。高校生についても、進路を決める重要なタイミングでもあるので対象に含めました。

斎藤:近年はIT技術者が出産後の女性のセカンドキャリアとしても注目されていて、職業訓練的にプログラミングを学ぶ人が増えているものの、若いうちからの積み上げがないとなかなかスキルや年収が上がりにくい実情もあります。キャリアを積むには中高生から素地をつくることが大切であるにもかかわらず、取り組む事業者がほぼ見当たらなかったので、私たちがそこに挑むことにしたのです。

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「つくりたいものをつくる」ことで楽しさに気づいていく

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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