ICT活用をフル活用する「C.school」
私たち「C.school」は、「子どもたちの主体的な進路選択の実現」をミッションに、子どもたちが「自分で考えて、自分で決めて、自分で行動する」ことをテーマに教育活動に励んでいます。すべての目的はここにあり、受験も勉強も、教師も教材も、その他のものはすべて手段だと捉えています。
そのミッションへダイレクトにアプローチするために、最も重要な手段が「ヒトの力を最大化すること」です。子どもたちの主体的な行動をサポートするためには、多様である一人ひとりと向き合い、エンパワーリングすることが何よりも重要です。私は自身の経験から、自分の思いや気持ちに寄り添ってくれ、かつ、クリティカルなアドバイスをくれて、自分の人生に伴走してくれる人との出会いが、人生を主体的に生きられるようになるきっかけになると感じています。その出会いを教育を通じて生み出したい。
そう思って教員になりましたが、実際に教育現場に入ってみると、あまりにもアナログなことや非効率なことが多く、その効果を最大化できないと感じました。そのために、ヒトの力が最大限に生かされていない、むしろ疲弊してしまっているとも。民間企業で当たり前のようにやっているICT化を進めれば、もっともっとヒトの力を最大化できると確信していました。
そこで、C.schoolでは、ICTで効率化できるものは、とことんICT化しています。学校で作っているような紙の学習計画表や配られる模試の結果のプリントは、すべて一人ひとりのために作成したスプレッドシートで共有しています。
子どもたちはスプレッドシートのアプリで勉強計画を立てられるし、カリキュラムや自身の成績、弱点分析まで見ることができます。また、課題の管理や勉強時間の管理もすべてこのシートで実施。学習においては、「理解」のフェーズにあたる一方通行の授業はICT教材「すらら」を使い、「定着」は暗記アプリ「Monoxer(モノグサ)」を活用しています。学習の「計画」「理解」「定着」のフェーズにおいて、ICT化できるものはとことんICT化を進めているのです。
ICT化できないことは、人の価値を最大化
一方で、学習の「計画」「理解」「定着」のそれぞれのフェーズにおいて、ICTだけでは効果を最大化できないことがあります。
「計画」の段階においては、やはり一人ひとりのモチベーションなどの感情面、それから、状況や個性に応じて適切な計画を立てるスキルの面でも、人のサポートが必要です。私たちは、頻繁に1対1の面談を行い、一人ひとりと向き合いながらティーチング・コーチング、そしてエンパワリングをしています。学習習慣の定着に対する課題を明確にして、アクションプランを立てることもヒトだからこそできる関わりだと思っています。
また「理解」のフェーズにおいても、つまずきの理由は一人ひとり違います。時に、正誤判定の積み重ねの傾向から間違いの理由を判定する「機械」では、本質的なつまずきの理由を導けないことがあります。そこで、コーチング的に学習指導を行うことで、本質的なつまずきの解消に取り組んでいます。本人の理解度を確認しながら説明した後には、自力で問題を解き直してもらい、その問題を解くプロセスまで説明するようにしてもらっています。
「定着」のフェーズにおいても、記憶のサイクルにしたがって、適切なタイミングでの復習が必要になってきます。暗記アプリもその辺りまで設計されていますが、実際に、生徒が「定着させるための行動をする」ことまでは現状アプリでは促せません。また、急遽決まった「明日のテスト」の内容に即興で対応できるのも、現段階では人間だけ。もしくは、その対応力を身につけるサポートができることはヒトの役割だと思います。私たちが一人ひとりの学習データや子どもたちの日常を把握して、働きかけていることは、ヒトだからこそできることの価値だと感じています。