日本学術会議は、「教育のデジタル化を踏まえた学習データの利活用に関する提言 -エビデンスに基づく教育に向けて-」を9月30日に公表した。
日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄のもと政府から独立して活動する機関で、「科学に関する重要事項の審議と、その実現」「科学に関する研究の連絡と能率の向上」を職務としている。日本の科学者を民主的に代表するボトムアップ的な機関と言える。
提言の背景には、現在教育機関においてGIGAスクール構想の推進や新型コロナウイルス対策によるオンライン授業の実施など、教育のデジタル化が進む一方で、各教育機関や民間企業に蓄積される学習データが、あまり教育改善のために利活用されていない状況がある。
従来のような試験や成績などの学習結果だけでなく、学習プロセス(学習過程)のデータを個人情報保護に配慮した上で適切に効率よく収集し共有を促すことで、研究や利活用が活性化し、エビデンス(科学的根拠)に基づいた、より効果的な教育を実現できる可能性が考えられる。
PDFで39ページの資料としてまとめられた提言では、省庁などの国の政策に向けて、4つの観点「(1)学習データの種類と教育改善のための利用」「(2)学習データを収集・利活用するための制度設計」「(3)学習データを収集・利活用するための情報環境の整備」「(4)学習データを収集・利活用するための人材の育成」で、学習データを利活用するための制度設計・支援体制・基盤情報システムのあり方などについて論じている。
なお、本提言で言及している学習データについては、一人一台の情報端末や学習支援システムで得られるデータに限定したものであり、教育活動全般で利用される広範な教育データの取り扱いには、慎重に議論を深め、継続して検討する必要があるとしている。
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