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はじめに
授業で英作文をさせ、添削する時。
一人ひとりが紙に書いて先生に見せに来る方法だと、行列ができてしまって生徒の貴重な授業時間が待ち時間に使われてしまうし、当てられた生徒が黒板に書く方法も、生徒が前に出てきて黒板に書いている間、他の生徒は手持無沙汰になったりしますよね。
青木先生の授業では、ICTを活用して、一人ひとりの回答を先生の手元で確認。パッと前に映して全員に見せて、どんどん添削をしていきます。
他の人の間違いからクラス全員が学びを得られる授業展開は、他教科でも応用可能!
ぜひご覧ください。
青木和伸先生インタビュー
Q.現在の授業スタイルになったのはいつから?
青木和伸先生(以下、青木) 導入は今年からです。たまたまツイッターで他校の先進校事例を見た時に、国語の授業を現在行っているような形でされていて、それをヒントにやってみようと思いました。
添削しているというのが、やはり一番の特徴だと思います。正解を書いてもらって、書けない子は参考にするというのもアリなのですが、やはりテストをやっても同じところが間違っています。
添削をすれば、「ピリオドがなかった」「クエスチョンマークがなかった」「冠詞のaがなかった」と気付き、自分で「直さないと」と思ってくれるのでそこが改善すると思います。
Q.AL形式の授業はいつから?
青木 やはり本校に来てからだと思いますが、AL形式の授業をしたいなというか、しなければという思いは、教員をし始めた当初からありました。
今はもう全国で有名になられた田尻悟郎先生と、学生時代から長くお付き合いをさせていただいていて、色々と「こうしたらいいよ」「ああしたらいいよ」というアドバイスを頂いていたので、それを最初は真似をすることから始めました。
あとは色んな実践をすることができたらなと思っていて、最初はやはり全体の割合からすると本当にわずかだったのですが、段々割合というか量は増えています。
Q.前任校では一斉授業だった?
青木 そうですね。やはり指導する内容は決まっていましたし、この地域の進学校でしたので、どうしても教科書早く進めなさいと言われていました。とにかく教科書を進めること、教材を早く消化することこそが一番のようなところがありましたので、そこから少し離れて考えるというのはなかなか厳しい状況でした。
Q.(以前のやり方と比較して)生徒の理解度や意欲の変化は?
青木 伸びたかと言われると、そこはよく分からないところです。当時は今のような形がアクティブ・ラーニングだということは意識していなかったのですが、そういう形でやっていても、成績が落ちたりすることはなかったので、同じだったら、というところからスタートしています。
ただひとつだけ言えるのは、最初の頃は従来式でやらないと「成績が伸びないよ」「伸びないじゃないか」というようなことよく言われていたのですが、うまくやれば伸びるということです。まだやはり自分が力不足なので、そこまで行けていないとは思うのですが、将来的には効果があるのではないかと強く感じています。
今までずっと紙ベースで5~7年くらいやってきて、今日ご覧いただいたようなタブレットは、今年から使い始めました。
Q.タブレット端末を利用する上での問題点など
青木 実際ありますね。私が座長を務めている校内の導入の推進委員会というのがあるのですが、タブレット端末を入れる時に、やはり多くの先生方からそういう懸念が寄せられていますし、確かに問題も起こっています。
しかし、今まで起こっていた色んな生徒指導の問題などというのが、解決されたかと言われれば、そういうわけではないので、それと一緒で起こってきたらやはりそれを直していくという、逆にチャンスでもあると思います。
今までがどちらかというと、学校現場に携帯電話を持ち込んではいけないとか、こういう電子機器については敬遠されていたところがあるのですが、やはりこれだけ普及してくると、むしろきちんと学校の中に入れて指導していくべきだと思います。国もこれだけやりなさいということを言っているわけですから、そういうところも含めて教育なのではないかと思っています。
今日やったような形の授業というのは、やはり紙ではなかなか厳しく、書いたら見せに来てもらうというスタイルなので、他のクラスの友人間で共有することができませんでした。それをさせようと思うと、発表や黒板に書いてもらうなどというスタイルになるのですが、なかなかそれも厳しいので、今日のような授業はタブレットやICTがあって成立するものだと思っています。
Q.タブレット端末を利用した授業を行う上でのポイント
青木 私も手探り状態なので、これというポイントはないのですが、強いて言うなら思い切ってまずやってみることが大切だと思います。たくさんの先進校事例を見て真似をすれば、「こんな可能性があるのではないか」「今までやっていたものを、これに変えたらどうなるのか」という、新しい発見・可能性が見えてくると思います。
ある種の冒険というか、チャレンジが少し必要かもしれませんが、どんどん実践する方が増えるといいなと思います。
Q.(ICTを用いた授業で)工夫していること
青木 中学校1年生だからといって、これまでと違ったことをしているわけでなく、やはりたくさんの出てきたものを覚えて練習をして、それを今日ご覧いただいたように、部分的に形を変えて自分の作文にしていく、自分の表現にしていくというやり方をしています。
それは以前までと変わりがなく、違っていたのはたまたまICTが入っていたという部分だけだと思います。今までだと、教え込む、覚えさせる、暗記させるというように、「いかに覚えさせるか」というところが重要視されていたと思いますが、やはり本人がやる気になって、内発的に動機付けされて自ら学ぼうとすることが、どんなものにも勝ると思っています。
ICTを使うということがメインではなく、やる気をいかに引き出すかというツールとして、今回はたまたま子どもたちが得意なICTを入れたわけです。「自ら学びたくなる仕掛け作り」。それが今日のタイトルです。
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