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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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「デジタルハリウッドアカデミー」セミナーレポート

デジタルスキル学習における、遠隔授業で成果を出す秘訣とは? デジタルハリウッドの事例を紹介

「遠隔授業×動画教材活用でデザイン技術習得~学生の学習率と作品制作を高められた秘訣~」レポート


 ICT教育の実践課題と解決策の共有を目的として、デジタルハリウッド株式会社が展開するオンライン授業の導入および活用支援サービス「デジタルハリウッドアカデミー」ではセミナー定期的に開催している。7月16日には、同校で教鞭をとり、同大学院でオンライン授業について研究する石川大樹氏が登壇。IT系実技科目(3DCG、ゲーム、プログラミング、映像、グラフィックデザイン、アニメ、Web、メディアアート、広告・PRビジネス等のデジタルクリエイティブ分野)などを担当する高等教育機関(大学、専門学校)の教職員に向けて、遠隔授業による動画教材の活用でデザイン技術習得を促進する方法について紹介した。

50種類を超えるデジタルハリウッドの動画教材

 1994年の設立より、IT系およびデジタルコンテンツ関連の人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッド。いち早く自社にて動画教材(オンデマンド型)を作成し、IT系実技科目の遠隔授業において活用を行ってきた。

 動画教材の作成にあたっては「基礎力のばらつき解消」「常に最新であること」「教員の負荷軽減」「学習時間の拡張」「プラスαのスキル習得」「ドロップアウト予防施策」などを目的とし、「短尺・初学者向け・実務家教員・毎年更新」が意識されている。現在は約50種類から年を追うごとに増え、同大学・大学院はもとより、他大学などでも導入が進んでいるという。大手前大学では7科目が専門の必修科目として、専修大学では文系学科1年生の必修として画像制作など、京都精華大学では夏休みなどの課外講座として活用されている。

 多彩な使われ方をしている同社の教材だが、本丸であるデジタルハリウッド大学・大学院ではどのように使われているのか。同大学院で専任助教として教鞭をとり、動画教材開発の責任者として「メディアでの学び方」を研究する石川大樹氏が自身の授業「デジタル表現基礎」での経験や分析をもとに活用の方法について紹介した。

デジタルハリウッド株式会社 まなびメディア事業部 まなびメディアグループチーフ 教材開発責任 インストラクショナルデザイナー、デジタルハリウッド大学大学院 専任助教 石川大樹氏
デジタルハリウッド株式会社 まなびメディア事業部 まなびメディアグループチーフ 教材開発責任 インストラクショナルデザイナー、デジタルハリウッド大学大学院 専任助教 石川大樹氏

トレンドのeラーニングで重要な役割を担う「動画による学習」

 デジタルハリウッドで動画教材を初めて導入したのは2009年。以降11年にわたって動画活用を推進してきた。石川氏が本格的に動画教材に携わり始めたのは東日本大震災直後の2011年、プログラミング系の講座を立ち上げるにあたり、誰でも受講できるよう遠隔での授業を実現したいと考えたことがきっかけだという。当初はWebデザインの動画のみだったが、CGやプログラミングなどが増え、現在の講座数は50を超える。また、作成した動画教材を活用するとともに、より効果的な動画の活用法、動画による学ばせ方などについての研究も行っている。

 そもそも、教える側が「なぜ動画教材の学ばせ方」を学ぶべきなのか。石川氏は、2019年になって到来した6つの「eラーニングトレンドキーワード」の関係性から説明ができるという。

 「マイクロラーニング」「ゲーミフィケーション」「動画」「モバイルラーニング」「アダプティブラーニング」そして「AI」の6つのトレンドを整理すると、「動画」がそのすべてに関係していることがわかる。つまり、(1)動画を使ったマイクロラーニングでモバイルラーニングを行う、(2)動画を使ったゲーミフィケーションで楽しみながら学習する、(3)AIで進捗を分析しながら動画を活用してアダプティブラーニングを行う、この3つの学習法が大きなトレンドになっており、いずれも「動画」が重要な役割を担うというわけだ。

6つの「eラーニングトレンドキーワード」すべてにおいて動画は重要視される
6つの「eラーニングトレンドキーワード」すべてにおいて動画は重要視される

 昨今注目されるeラーニングサービスもこの3つに分類され、「スタディサプリ」や「Progate」「ドットインストール」は(1)に、「paizaラーニング」は(2)、アダプティブラーニングプラットフォームエンジン「Knewton(ニュートン)」を使った「Z会Asteria」や「Classi」は(3)に該当する。

 デジタルハリウッドでも、マイクロラーニングによる動画教材はもちろん、会話を行いながら場の一員になって学ぶ「会話型動画教材」や、部分的専門性を高めることを目的にブロック構成とした「分岐型動画教材」、実制作を通じて基礎を取得するワークと逆引き的に理解を深めるリファレンス動画を組み合わせた「ワーク&リファレンス体系」なども開発している。

「学ぶ」と「習う」の違いとは何か?

 しかし、どんなに動画のクオリティを上げても、学習されなくては意味がない。2015年以降、石川氏はさまざまな試行錯誤を行ってきたが、「動画教材の品質が上がったとしても、学習者の興味を持続させるとは限らない」と気づいたという。

 「ある程度までは学習者の学習意欲を高めることは可能だが、管理されていなければ学習意欲は低下してしまう。そこで、『学習強制力の低さ』の改善が必要と考え、動画の学ばせ方の研究を始めた。動画を提供するだけでなく、動画の運用の仕方こそ重要と考えた」と石川氏は語る。

 こうした考えのもと、さまざまな検証を行う中で「『学ぶ』と『習う』が違っていること」に気づいたという。「学ぶ」は学術的な知識や経験を身につける、教えてくれる人がいなくても成り立つことを指す。一方、「習う」は繰り返し覚えることであり、教えてくれる人が前提であることで、技術的なものが多い。「学び」と「勉強」の違いと言い換えることもできるだろう。東京大学名誉教授の佐伯胖氏によれば、「勉強」が教えに従って「身につけるべきこと」を習得することであり、「学び」は自分から「こうありたい」と思う自分になることだ。

 「私たちはこれまでほとんど『習う』こと、『勉強』を中心に行ってきた。いわば、一通りの知識や技能を確実に習得できているかが評価軸だった。しかし、社会の変化とともに、必要な人材が変わる中、学びを人生や社会に生かそうとする『学びに向かう力・人間性』や『生きて働くための知識や技能』『未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力』などが求められるようになっている」と石川氏は語る。

 そう考えると「学び」が重要であるように見えるが、当然ながら「勉強」や「習う」という方法で「身につけるべきこと」を身につけて両者が合わさってこそ、「こうありたい自分」が実現する。逆に言えば、「こうありたい自分」があるからこそ、何を学び、何を身につけるべきかが見えてくる。

 「習う」は繰り返しやって覚えることであり、教えてくれる人がいる前提で、その教員役として動画教材を活用することで学習効果が上がるようになってきた。その理由は「自分のペースでやれること」「わからない部分を繰り返しレクチャーしてもらえる」「必要なときにレクチャーを後で選んで習える」という、これまで一般的だった対面学習のデメリットを補えるようになったことが大きい。

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デジタルスキル学習で最も重要な「圧倒的なクリエイション欲求」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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