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【先生のコミュニティ紹介】先進的かつ誰でも取り組めるプログラミング教育を――尼崎市の自主研究会「AP Labo」

有志の先生でつくるコミュニティを紹介! 第3回

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2020/06/18 07:00

 有志の先生・教育関係者の方々でつくる「コミュニティ」活動をご存じですか? どのコミュニティも、より良い学びの実現に向けて、情報交換やワークショップ運営といった活動に日々取り組まれています。EdTechZineではその方々を応援したいと考え、コミュニティを紹介するコーナーを設けました。3回目となる今回は兵庫県尼崎市で活動する、小学校の先生のコミュニティ「AP Labo」を、代表の林孝茂先生にご紹介いただきます。(編集部)

基本情報

  • コミュニティ名:尼崎市学びの先進研究サポート事業小学校プログラミング教育研究会「AP Labo」
  • 所属している人:尼崎市内複数の小学校の教諭
  • Webサイト

代表

林 孝茂(はやし たかしげ)

 尼崎市小学校教諭。みんなのコードプログラミング教員養成塾第1期生。教育関係者向けのプログラミング教育コミュニティ「Type_T」メンバー。

 embot認定ティーチャー。Viscuitファシリテーター。

主な活動内容

 尼崎市学びの先進研究サポート事業小学校プログラミング教育研究会「AP Labo」(以下「AP Labo」)は、2020年度の小学校プログラミング教育必修化に向けて、2018年度に発足した自主研究会です。「AP」は「尼崎市 プログラミング教育」のことで、基本的には市内45校の小学校で定期的に公開授業や研修会を行っています。

 ロゴには本研究会の2大テーマである「先進的なプログラミング授業の提案(上向矢印)」と「誰でも簡単に取り組めるプログラミング授業の普及(横向矢印)」をブロック型のビジュアルプログラミング言語に置き換え、組み合わさって研究を進めていくという想いが込められています。

「AP Labo」のロゴ
「AP Labo」のロゴ

 研究員は、採用数年の若手から、教員歴20年のベテランまで、通常学級担任、特別支援学級担任、図工専科など、たった6人の少人数ながら幅広い人材で構成されています。基本的に自主研究会は勤務時間外の活動になるのですが、いつも貴重な時間を割いて集まり、教材体験をしたり、指導法を検討したりしています。本年度からはオンラインミーティングを中心に研究会を進めています。

「先進的なプログラミング授業の提案」としての活動

 文部科学省・総務省・経済産業省が中心となって立ち上げた「未来の学びコンソーシアム」の「みらプロ」に参加し、DeNAの「プログラミングゼミ」の教材提供を受けました。モグラたたきのプログラムと国語の熟語の学習を組み合わせた「熟語たたきゲームを作ろう」を実践。こちらはプログラミングゼミの公式ページで実践が掲載されています。同公開授業の後、特定非営利活動法人みんなのコード 学校教育支援部 主任講師 福田晴一氏を講師に招聘し、プログラミング教育研修会を開催しました。市内からたくさんの先生が参加され、必修化に向けて研修を深めることができました。

公開授業「熟語たたきゲームを作ろう」と、福田晴一氏による講演 公開授業「熟語たたきゲームを作ろう」と、福田晴一氏による講演
公開授業「熟語たたきゲームを作ろう」と、福田晴一氏による講演

 また、みんなのコードと連携し、SAPジャパンの出前授業を開催しました。「レゴ WeDo 2.0」を活用し、センサーを使って周りの人の手助けになるような「モノ」を考えていきます。モノづくりを通して、「着想・発案・実現」という流れに沿って問題解決までのプロセスを「デザイン」していくデザイン思考を学びました。この日は開催校の授業参観も兼ねており、教員だけでなく、保護者の方にもプログラミング授業について知ってもらうことができました。尼崎市教育長も参観に来られました。

SAPジャパンによる出前授業 SAPジャパンによる出前授業
SAPジャパンによる出前授業

 ほかにも、NTTドコモよりプログラミング教育ロボット「embot」の教材提供を受け、音楽とプログラミングを組み合わせた新たな授業展開を提案しました。プログラムした角度で音を表す「ドレ見メーター」を作りました。角度の違いから和音の仕組みを見つけたり、難聴学級の児童に「見える音」を届けたりするなど、プログラミング教材ならではの学習にすることができました。

 授業後の研修会では、NTTドコモの方に講師として具体的な使い方や、授業例を指南していただきました。教員だけではなく、役所やPTAなどから幅広く参加者が集まりました。

embotを活用した「ドレ見メーター」制作の授業 embotを活用した「ドレ見メーター」制作の授業
embotを活用した「ドレ見メーター」制作の授業

「誰でも簡単に取り組めるプログラミング授業の普及」としての活動

 ここでの「誰でも」とは、「児童も教員も」といった意味です。また、プログラミングが目的ではなく、プログラミング体験を通して学びを獲得することが大切なので、簡単なプログラムでできる授業が望ましいと考えます。さらに特別な準備がいらず、尼崎市内の小学校の現環境で実践できる授業内容になっています。授業後には教材体験会も行い、参観された授業をすぐに持ち帰ってそれぞれの学校で実践していただけるように努めました。

 2019年度は以下の公開授業を実施いたしました。

「プログラミングで絵を動かそう」使用教材:Viscuit

 ビスケットランドを使ってメガネ(描いた絵を動かすための仕組み)の使い方を段階的に学びました。最後には自分の描いた絵を思い通りに動かし、水族館をイメージした1つの画面に共有する体験を通して、プログラムとは何かを考えました。

「プログラミングで絵を動かそう」 「プログラミングで絵を動かそう」
「プログラミングで絵を動かそう」
「回転模様とコンピューターの得意なこと」使用教材:Viscuit

 形や絵を回転させてデジタルアートを作ります。作っていく中で、「繰り返し」「正確」など、コンピューターの得意なことを実体験を通して学んでいきます。完成した作品はスクリーンショットを撮って印刷し、教室に飾ることができます。

 その後、「自分の学年・学級でも授業し、子どもたちも大喜びだった」「校内研修でたくさんの先生に広めることができた」などの声を頂きました。

「回転模様とコンピューターの得意なこと」 「回転模様とコンピューターの得意なこと」
「回転模様とコンピューターの得意なこと」

 ほかにも、尼崎市教育総合センター夏季研修会「初級プログラミング講座」での講師を務めたり、みんなのコード主催の「プログラミング教育明日会議」での実践事例報告・運営サポートをしたりするなど、プログラミング教育への不安や抵抗をなくし、どの先生も、どの子どもたちも楽しくプログラミング授業に取り組めるように活動しています。

Webサイトのご紹介

 「AP Labo」のWebサイトでは、教材別授業実践例、解説動画、授業マニュアルや指導案(後述)など、これからプログラミングの授業を始める先生に向けたコンテンツを掲載しています。ぜひご覧ください。

 プログラミングの授業に抵抗を感じる先生は、コンピューターの操作が分からないという不安を抱えていると考えています。そこで、すべての手順を図説し、「この通りにすればよい」という授業マニュアルを作りました。プログラム自体もシンプルなものでできる実践ばかりを紹介しています。「やってみたいけれど何をどうしたいいのか全く分からない!」という方は、ぜひご活用ください。

マニュアルのサンプル
マニュアルのサンプル

メンバー募集について

 事業の特性上、正式なメンバーは尼崎市内の教諭に限られてしまうのですが、公開授業や研修会などへの参加はどなたでも大歓迎です。Webサイト上でお知らせしていきますので、同サイト、問い合わせフォームから気軽にご連絡ください。

【編集部より】先生のコミュニティを続々紹介予定です!

 本コーナーでは、今後も先生・教育関係者の方々主導のコミュニティを紹介していく予定です。EdTechZineの会員登録(無料)を行い、下の「この連載の更新時にメールでお知らせ」ボタンを押していただくと、新着記事をメールでお知らせいたします。コミュニティ活動にご興味がある方は、ぜひご登録ください。

 また「うちのコミュニティを紹介してほしい!」という方は、TwitterFacebookメールでご連絡ください。編集部で検討の上、返信いたします。



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