何のために実施するのか? 目的を明確にする
Zoomを用いた朝の会を行うにあたって、目的を明確にしておくことは大切です。
今回の休校措置により、学年末・学年の始まりという、とても大切な時期に子どもたちとのコミュニケーションを図ることができなくなってしまいました。また、学習においても遅れが生じるなど、解決したい課題は山積みになっています。
そのように山積するさまざまな課題の中から、「先生と子ども、または子ども同士のコミュニケーションチャンネルを作ること」に焦点を当て、子どもたちとのコミュニケーションを図るため、どのようにZoomの朝の会を取り入れていけばいいのかについて、具体的な事例を含め解説をしていきます。
職員間の共通理解を持つ
最初に行うことは、職員の共通理解を持つことです。休校措置に伴い、子どもたちとのコミュニケーションがとれずに一番困っていたのはそれぞれの担任ではないでしょうか。そこで、その悩みを共有し、30分だけでも子どもたちと話せる機会を持つことの意義について共通理解を図れば、実施に向かって一歩前進するでしょう。
具体的な例として、朝の会を行うことにより、以下のような効果が期待できます。
- 健康観察を行うことができる。
- 生活リズムを整えることができる。
- 休校中の課題の確認や説明(質問を受け付けながら)ができる。
- 担任がどのような人なのか、子どもたちに知ってもらうことができる。
- 同じクラスの友だちについて、子どもたちに知ってもらうことができる。
- 子どもたち同士のコミュニケーションの量を増やすことができる。
Zoomでの朝の会は、同じ時間・同じ場に集まることに特徴があります。ですから、リアルタイムでの交流でしか行えないことを中心にするといいでしょう。台本通りに話せばいいことについては朝の会で同期的に行うのではなく、別の手段で好きな時間に見てもらったほうがお互いにとっていいと思います。
特に2.で挙げた「生活リズム」については、毎日決まった時間に行うことで効果が出てきます。子どもたちが参加したいと思うような朝の会を行うことができれば、自然とその会に参加するためのリズムが確立されてくるはずです。また、ビデオでこちらの表情を見せながら行うと、担任の顔を覚えてもらうこともできますし、先生がどういう人なのかについて子どもたちに理解してもらいやすくもなります。直接会って交流することには及ばないかもしれませんが、表情の豊かさやアドリブといった要素は、担任に対する理解を深めてくれるはずです。
このように、Zoomによる朝の会にはさまざまなメリットが考えられます。このメリットを共有し、職員の共通理解を深めることができれば、はじめの一歩は成功と言えるでしょう。
しかしながら、最初からやらないほうがいいこともあります。それは授業です。
特にやることがない場合に、「授業っぽいことをしよう」としてしまいがちですが、授業は別の手段で行うほうがいいと思います。つまらない体験をしてしまうと、子どもたちは離脱しますし、次から来てくれません。
オンラインによる開催の大きな特徴は、子どもたちの選択権が大いに尊重されていることにあります。嫌なら出ない。これも立派な選択です。ですから、「Zoomによる朝の会は楽しいものだ」という認識が子どもたちに育つまで、授業らしいことは避けたほうがいいと思います。楽しいものだという認識ができたら、少しずつ混ぜてもいいとは思いますが、先ほども述べたように、別の手段で授業が行えるのであれば、場を切り替える意味でもZoomは楽しい朝の会のツールとして用いたほうがいいでしょう。