SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

無料で使えるオンラインのプログラミング学習環境「paizaラーニング 学校フリーパス」

なぜ無料でプログラミング学習サービス「paizaラーニング」を学校に開放したのか?

無料で使えるオンラインのプログラミング学習環境「paizaラーニング 学校フリーパス」 第2回


 2019年8月よりプログラミング学習サービス「paizaラーニング」では「学校フリーパス」という施策が始まりました。これは学生・生徒・児童、そしてそこで教鞭をとる先生たちに対してpaizaラーニングの全講座を完全無料で提供するというものです。本連載では学校フリーパスに込めた思い、paizaラーニングを始めた経緯や活用事例、その活用方法についてお伝えします。第2回は、プログラミングを取り巻く状況や、今後世の中がどう変化していくのかついて、また、サービスに込めた思いについて語ってみたいと思います。

この10年でぼくらを取り巻く環境がどう変わっただろう

IT企業の時価総額

 数年前からネットや新聞などで「プログラミング教育」の文字を多く目にするようになりました。いよいよ今年2020年から小学校で、そして来年2021年からは中学校でプログラミング教育必修化が始まります。

 義務教育でのプログラミング教育は、長らく必修化の是非が議論されてきました。今回なぜ必修化することになったのでしょうか。

 詳細を知るには文科省のサイトをご覧いただくのが一番ですが、簡単にまとめると、今後国や経済を成長させるには、IT人材をより多く生み出していくことが重要だからと考えられるからです。

 この10年で世の中がどのように変化したか全体感を掴むために、世界経済を時価総額の観点で見てみると次のようになります。

2009年世界時価総額ランキング

 (出典:「日経ヴェリタス 2009年8月16日号」12面)

  1. ペトロチャイナ:エネルギー(中国)
  2. エクソンモービル:エネルギー(アメリカ)
  3. チャイナモバイル:通信(中国)
  4. マイクロソフト:IT(アメリカ)
  5. ウォルマート・ストアーズ:小売(アメリカ)
  6. シノペック(中国石油化工):エネルギー(中国)
  7. BHPビリトン:鉱物資源(オーストラリア・イギリス)
  8. ジョンソン&ジョンソン:日用品(アメリカ)
  9. P&G:日用品(アメリカ)
  10. ロイヤル・ダッチ・シェル:エネルギー(オランダ・イギリス)

2019年世界時価総額ランキング

 (出典:STARTUP DB

  1. アップル:IT(アメリカ)
  2. マイクロソフト:IT(アメリカ)
  3. アマゾン・ドット・コム:IT(アメリカ)
  4. アルファベット:IT(アメリカ)
  5. ロイヤル・ダッチ・シェル:エネルギー(オランダ・イギリス)
  6. バークシャー・ハサウェイ:投資(アメリカ)
  7. アリババ・グループ・ホールディングス:IT(中国)
  8. テンセント・ホールディングス:IT(中国)
  9. フェイスブック:IT(アメリカ)
  10. JPモルガン・チェース:金融(アメリカ)

 2009年時点では、時価総額トップテンにはエネルギー系や日用品企業が多く、IT系は1社にとどまっていました。しかし10年後の2019年はIT系が10社中7社が占める割合にまでなっています。この10年でIT産業が圧倒的に成長を遂げているということがお分かりいただけると思います。

 これは、考えてみればごく当然の結果ともいえます。いまやスマホを使わない日はないでしょうし、分からないことがあればネットで検索し、コンビニではキャッシュレスで買い物をすることが当然のように行われています。これらすべてはIT技術で成り立っており、その裏には必ずプログラミングが存在しています。

 そしてこの流れは今後さらに加速し、すべての産業のあらゆる職種にITが当然のように関わってくることは想像に難くないでしょう。またAIの発達によりさまざまなものが自動化され、銀行やタクシー、TVや新聞などのメディア、単純労働作業などの仕事や職種がなくなっていくとも言われています。

 日経ビジネスオンライン(2017年5月19日)の記事「人間を「駆逐」したウォール街の王者」によれば、米投資銀行大手のゴールドマンサックスは、年収約5000万円越えとも言われる株式トレーダー600人をAIに置き換え、現在株式トレーダーは2人になったとのことです。単純計算で年間300億円の仕事が消失したともいえることが、すでに現実におきているのです。

IT産業は伸びているが人は足りていない

 一方でこれらを担うIT人材はまったく足りていない状況です。IT産業はこの10年で急速に伸びた産業なので、IT人材を育てる環境もまったく追いついていないのです。

 経済産業省が発表している「IT人材供給に関する調査」(2019年3月、p.42)を見ると、2018年の時点で、最大で2020年現在で約30万人、2030年には約79万人不足すると予測されています。

みずほ情報総研株式会社「IT人材供給に関する調査」(2019年3月)のp.42、図3-27より引用
みずほ情報総研株式会社「IT人材供給に関する調査」(2019年3月)のp.42、図3-27より引用

この先は一体どうなるのだろう

 未来予測の中でも人口予測は一番精度が高いと言われていますが、日本は人口減少フェーズに入っており、放っておけば人口が減り、GDPが下がり、結果として国力が落ち込むため、子どもたちの将来は暗いものになってしまいます。

 そうならないために「生産性が高く成長産業であるIT産業に労働人口をシフトさせていこう」というのが政府が考えていることであり、そこからプログラミング教育必修化の流れも出てきているのです。人口減少速度以上に生産性を高めることが急務なのです。

 ここからは私見になりますが、日本からグーグルやマイクロソフト、フェイスブックのような世界的企業がうまれるためには、技術者だけがIT技術を知っているのではなく、関わる人すべてがプログラミングを含むIT技術の基本的理解をしている必要があると考えています。

 グーグル、マイクロソフト、フェイスブックの創業者は全員ITエンジニア出身であり、技術に明るく、それをビジネスとして展開できたからこそ世界的な企業に成長しているのです。ビジネスを考える人がITを理解してなければ、今の時代にイノベーションは起こせません。

 ここまで説明してきたように、産業の潮流としても、日本の未来のためにもIT人材育成、プログラミング教育は必須であることがお分かりいただけたかと思います。しかしIT人材育成、プログラミング教育では非常に大きな課題があります。それはIT人材が足りてないという以上に「教えられる人がいない」ということです。

次のページ
教えられる人がいない、教材がない、ノウハウがないという課題

この記事は参考になりましたか?

無料で使えるオンラインのプログラミング学習環境「paizaラーニング 学校フリーパス」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

片山 良平(paiza株式会社)(カタヤマ リョウヘイ)

paiza株式会社 代表取締役社長/CEO インターネット黎明期より100を超える企業のWebデザイン、システム開発などに携わる。その後、ITエンジニアとしてPHPとMySQLを使用したCMS、ASP型ECモールなどの自社開発を担当。2007年より、ネットイヤーグループ株式会社にて大手通信企業のデ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/3323 2020/04/10 17:35

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング