日本マイクロソフトは、「GIGAスクール構想」に対応する新しい教育機関向けソリューション「GIGAスクールパッケージ」を2月4日より提供開始した。本稿では同日に行われた記者発表会の模様をお伝えする。
文部科学省が2019年12月に発表した「GIGAスクール構想」。個別最適化された、子どもたちの創造性を育むICT環境の実現に向けて、2023年度までに小中学校すべての児童生徒の1人1台端末環境を目指す取り組みだ。また、端末1台あたり4万5000円の補助が実施される。
今回発表された「GIGAスクールパッケージ」は、「GIGAスクール構想」の「学習者用端末の標準仕様」に適合したPCと、マイクロソフトのサービスを組み合わせたソリューションを一括して低価格で提供するものだ。
「GIGAスクールパッケージ」は以下の5つで構成される。
1.GIGAスクール対応PC
「GIGAスクール構想」の「学習者用端末の標準仕様」に適合した、Windows 10デバイス「GIGAスクール対応PC」がパートナー企業8社と連携して発売される。具体的な価格は発表されなかったが、いずれの機種も特別な低価格ライセンスに対応しているという。また、複数の自治体がまとまって購入することで、より効率的な共同調達ができるとした。
なお、これらの端末はコンシューマー向けに販売されているものと比較してスペックが抑えられているものの、一般的な協働学習などで使用するには問題ないとされている。また、教育現場に適した堅牢性を持つ製品も多い。
2.GIGAスクール構想に対応した教育プラットフォーム
WindowsとOffice 365が「GIGAスクール構想」に対応した特別な低価格で提供される。Office 365にはグループワークや協働するスキルを育むのに役立つ機能が搭載されている。
3.MDMによる大規模な端末展開とアカウント管理手法の提供
クラウドベースのモバイルデバイス管理ツール「Microsoft Intune」を活用して端末・アカウントの管理を行う、MDM(Mobile Device Management)が提供される。従来のオンプレミス型の管理環境と比較すると、3分の1のコスト削減ができ、端末と環境の構築や運用管理の遠隔サポートも可能となる。
また、アカウントの取得・設定や、夜間の自動アップデートも簡単に行うことができる。
4.教員研修の無償提供
機器やソフトウェア活用のための、教職員を対象とした無償の研修が実施される。都道府県・政令市の教育センター向けの研修プログラムと、オンラインで受講可能な研究コースの2つが用意される。なお、オンライン研修は「Microsoft 教育センター」のWebサイトにて公開される予定。
5.「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に対応可能なクラウド環境
文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」にもとづいた安心・安全なクラウド環境が提供される。
「GIGAスクールパッケージ」の概要を説明した日本マイクロソフトの中井陽子氏は、同ソリューションのさらなる強みとして次の通り述べた。
「Windowsは起動やスリープからの復帰が遅く、学校の授業で使えないと誤解を受けることもあるが、そうではない。現在は従来の4分の1の起動時間となり、生体認証などを使用するとログイン時間をさらに短縮できる。Windows Updateのタイミングもコントロール可能で、更新にかかる時間も大幅に短くなった。さらにOfficeは振り仮名や縦書きなど、日本の教育環境に完全対応しているのもメリットだ」(中井氏)
そして、「子どもたちは大人が考える以上にパソコンに慣れている。慣れさせるためだけに『とりあえず』で予算を使うのではなく、人材育成を見据えてより良い端末を準備することが重要」とコメントした。
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