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日々の学習データからAIが最適なカリキュラムを作成してくれる、英語学習のオールインワンプラットフォーム「POLYGLOTS」

英語の6技能をひとつで習得可能なアプリ「POLYGLOTS」開発者インタビュー

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2019/12/12 07:00

 スマートフォンで英語を学べるアプリ「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」は、2014年の登場から現在までに130万以上インストールを獲得し、今なおアプリストアの上位に位置する定番アプリだ。本稿では、着々とサービスを拡充しつづける「POLYGLOTS」の成長の軌跡や技術的背景などについて、株式会社ポリグロッツ 代表取締役 山口隼也氏と、CTOの菊池大輔氏に話を伺った。

株式会社ポリグロッツ CTO 菊池大輔氏(左)、株式会社ポリグロッツ 代表取締役 山口隼也氏(右)
株式会社ポリグロッツ CTO 菊池大輔氏(左)、株式会社ポリグロッツ 代表取締役 山口隼也氏(右)

6技能の学習状況から、より個々に最適な学習プランを提供

 「POLYGLOTS」では、BBC NEWSやThe Japan Times、TechCrunchを始めとする、幅広いジャンルのニュース記事や日常生活の英会話から好みの題材を選び、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング、単語学習、文法といったさまざまな英語の技能を高めることができる。興味のある分野の情報収集から始められるのも人気の理由だ。

 わからない言葉をタップするとすぐに意味を参照し、単語帳に蓄積する「ワンタップ辞書」や、英文のリーディングやリスニングの速さの目安となる「WPM(Words Per Minutes)」という値の記録など、学習をサポートしながら、ユーザーが自分の学習記録を残していける機能は、サービスの利用継続につながっている。

 さらに、個別最適化された学びを提供するため、ユーザーの学習記録から得られたビッグデータを活用してAIがおすすめの学習コンテンツを提案する「MyRecipe」も登場。発話認識API(※注1)「CHIVOX(チボックス)」を活用したスピーキング力のチェック機能に加え、ひとりでの学習だけでなく、人間の講師からレッスンを受けられるオンライン授業のメニューも提供している。

※注1:API(エーピーアイ)

 Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアの部品を提供するサービスのようなもの

「興味のある分野から始められるので学習を続けやすい」と語る株式会社ポリグロッツ 代表取締役 山口隼也氏
「興味のある分野から始められるので学習を続けやすい」と語る株式会社ポリグロッツ 代表取締役 山口隼也氏

 山口氏に「POLYGLOTS」のコンセプトを聞くと、「『POLYGLOTS』が英語学習をオールインワンでサポートするということです。その理由は個別最適化された学習にあります。どのようなレベルの人であっても、AIがその人にあわせたカリキュラムを自動で作り、最短のパスで最高の結果を出せるようになっています」と説明。

 英語を話せない理由を分解していくと、「単語やフレーズを知らない」「文法が身についていない・忘れている」「読めない」「書けない」などさまざまな技能が関連しており、総合的な学習が必要であることに気づく。「POLYGLOTS」では、リーディングやライティング、リスニング、スピーキング、単語、文法の学習コンテンツを提供することで、あらゆる技能の学習データを関連づけて蓄積しているという。

 蓄積されたデータによって「このフレーズを知らない人はどんなレベルなのか」といったことがわかり、「次にどのような学習コンテンツを提供すべきか?」という判断が可能となる。「従来のスクールや教材では、一人ひとりにあわせた学習を提供することには限界がありました。それをITの力やスマートフォンの普及により、手元で実現できるようになったというのが大きな違いだと感じています」と山口氏。

 また、学習するには意欲が必要だが、それに対する「POLYGLOTS」のアプローチが「好きを学びに」だ。「英語を学ぶ」というよりは「英語で何かをする」という面にフォーカスし、ユーザーが興味のあるテーマで、現在世の中で使われている英語を学べるよう、各分野のニュースや日常会話、洋楽で学べるコンテンツなどもある。

 山口氏は、英語ネイティブではなく、英語学習の事業に携わってきた経験もなかった。しかし前職で海外出張も多くあり、仕事に役立つ情報収集のため、テクノロジー系のニュース記事を読むことが日常となり、自然と英語を学習していくことになる。その際に自身が欲しかった機能を実現していったのが「POLYGLOTS」誕生のベースとなっている。

 仕事上必要に感じて自発的に学び始め、「POLYGLOTS」の開発を始めた当初はTOEIC Listening & Reading Testのスコアが600点台の前半であったのが、今では860ほどに向上したという。「仕事では海外のピッチコンテストや海外の方とのテレカンファレンス、講師とのチャットやメールなど英語を使う機会も多くなってきました」と山口氏。

 菊池氏も「リスニングのスピーカーのCodyさんとプライベートでバンドをしています。Codyさんがボーカルで私はドラムを担当します。日本語でのコミュニケーションもできるのですが、音楽の細かなニュアンスの伝達には英語を使いますので、私も英語で応えています」と、サービスの開発だけでなくプライベートでも英語を活用しているという。

前職で培った成長のノウハウに加え、便利でユニークな機能で利用者を引きつける

 「POLYGLOTS」は当初、創業時の「グノシー」や「SmartNews」と同じように、さまざまなWebメディアの記事をクロールして掲載する手法でコンテンツを提供していた。無料で利用できることもあってユーザー数も着実に伸び、その実績をもとにメディアへ提携提案を行い、着実に提供コンテンツを増やしていった。さらにユーザーが増えた次のステップとして、オンライン講師を集めるといった形で事業を成長させてきた。

 コンテンツを集めてユーザーを集め、さらにサービスを充実させていくプロセスは、BtoB向けのマーケティングプラットフォーム事業に従事していた前職の経験が生かされていると山口氏は語る。「製造業・建設業などの分野に関わる中小企業と、それらの製品やサービスを使いたい大手企業をマッチングするためのWebサービスを作っていました。中小企業の製品情報をひたすら集めるところから始まり、最初は無料で掲載して、それに利用者が集まってきて製品が売れ始めてきたら、掲載料をいただけるようになります。分野は違いますが、プラットホームを機能させるという経験が生きています」

 コンテンツを集めることはポイントだとはいえ、それだけでは学習者は満足しないはずだ。「POLYGLOTS」の利用者が増えてきた理由について山口氏に聞くと、「ワンタップ辞書」と「WPM」の2つだと答えた。「自分が情報収集で海外のサイトの記事を読んでいて、わからないところがあるとその都度意味を調べていました。でもその結果はどこにも蓄積されないわけです。もし、蓄積されていくならば、それは自分にとって最高の単語帳になるはずです。そこで『ワンタップ辞書』を作りました。単なる辞書機能でなく、クロールした記事とを単語をマッチさせて出現頻度に応じたスコアリングもしています」と説明した。

 さらに「WPM」について山口氏は、「1分間にどれだけの語数を読めるかという『WPM』は、すなわち英語の語順のまま英語を理解できる能力を表しているといえます。受験勉強なら日本語に翻訳して理解してもいいのですが、会話のときにはやはり遅くなってしまいます。『WPM』は常に測定していますので、例えば同じ記事の理解度チェックが正解の人でも、短時間で読み終わった人と、何度もスクロールしたり、単語をたくさん調べたりした結果、読了まで時間がかかった人のスキルは違うと判断します。このような本質的なデータを取得しているのは弊社だけです」とその重要性を語った。


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著者プロフィール

  • 森 英信(モリ ヒデノブ)

    スマホアプリやWebサイト、出版物といったコンテンツの企画制作を手がける株式会社アンジーの代表。写真加工アプリ「MyHeartCamera」「PicoSweet」など、提供するアプリは1100万以上のインストールを獲得。2019年にはAR(拡張現実)プログラムに関する特許を取得。自身はIT関連の取材...

  • 斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

    CodeZine/EdTechZine編集部 編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。2005年6月の正式オープン以来、ソフトウェア開発専門のオンラインメディア『CodeZine(コードジン)』の企画・運...

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