アルクの語学教育専門研究機関であるアルク教育総合研究所は、調査レポート「高等学校(中学校)での副教材活用の実態 ―単語力・文法力を向上させる指導法に着目して―」を10月21日に発表した。
同調査は、アルクのセミナーに参加したことがあり、情報誌『英語の先生応援マガジン』の読者である高校・中学の英語教員を対象に、4月9日~5月8日の期間に実施し、1215名(高校教員:1054名、中学教員:161名)から有効回答を得ている。
調査対象者に、副教材の採用冊数を尋ねたところ、高校は中学よりも採用冊数が多い傾向にあり、特にリーディング副教材、リスニング副教材、入試対策問題集の冊数が多かった。
副教材の採用にあたって重視するポイントとしては、高校では「生徒が取り組みやすいレベルである」(61.5%)、「音声がついている」(56.5%)、「テスト作成用ツールが提供されている」(56.5%)、「学習方法・手順が分かりやすい」(54.2%)と、生徒の学習しやすさ(レベル、学習方法・手順)と、指導上の観点(音声、テスト作成用ツール)の両面から採用を検討していることがうかがえる。
一方、中学では高校と比較すると「生徒が取り組みやすい学習量である」ことを重視する傾向にある。
前年度にメインで担当した生徒の単語力について尋ねた質問では、1年間で「とても上がった」と考える教員は10.1%で、「やや上がった」は58.5%だった。
生徒の単語力が「とても上がった」「やや上がった」と回答した教員に、その理由を尋ねると、「知っている【単語の数】が増えた」がもっとも多い。また、正しく書ける、聞ける、発音できる、スピーキングに使えると単語力が「とても上がった」と見なす教員が多いと考えられる。
授業中の単語学習の方法を尋ねた質問では、「英単語の【和訳を見て(聞いて)英単語を声に出す(書く)】(日→英)」を、生徒の単語力が「とても上がった」と回答した教員の63.2%が選択しているのに対して、「やや上がった」と答えた教員は50.2%、「(単語力が変化したかどうかは)どちらとも言えない」と答えた教員は47.7%だった。
「英単語を含む英文を【音読する】」「英単語を【ペア・グループなどで活動しながら】学習する」についても、「とても上がった」と「やや上がった」「どちらとも言えない」では約15ポイントの差がついている。
単語集を使った授業中や自宅などでの学習指示について尋ねた質問では、生徒の単語力が「とても上がった」と回答した教員は「【授業中】に学習した(テストのみの場合を除く)」の実施率が79.0%、「自宅学習の【音声の使い方を指示】した」の実施率が62.0%、「自宅学習の【手順を指示】した」の実施率が69.0%と、「やや上がった」「どちらとも言えない」と比較して高かった。
そのほか、文法についても同様に調査したところ、生徒が問題を解けると「文法力がやや上がった」と見なし、理解・表現の能力にまで影響が及ぶと「とても上がった」と考える教員が多いことが明らかになっている。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア