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地域ぐるみで子どもたちの問題解決能力を養う――清瀬第三小学校のサタデースクール「プログラミング教室」レポート

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2019/04/10 07:00

 2020年より小学校でプログラミング教育が必修化される。それを目前に控えた今、すでにプログラミング教育を取り入れている学校もある。清瀬市立清瀬第三小学校では、PTAはもちろん、地域住民やさまざまな外部関係者と連携し、子どもたちが主体的に問題解決の力を育成するための取り組みを実施。年6回開校しているサタデースクールはその代表例だ。サタデースクールの複数あるメニューのひとつ、「プログラミング教室」では、子どもたちはどんなことを学んでいたのか。その様子をレポートする。

年6回、土曜日にプログラミング教室を開催

 今、日本では未来を担う子どもたちの成長を支えるため、地域と学校が連携・協働し、社会が総がかりで教育を行うことが求められている。今回、訪れた清瀬第三小学校では「学校支援本部」という組織を設置し、地域住民やさまざまな外部関係者と共に活動を行っている。取材したサタデースクール活動のほか、サマースクール(1学期終業式直後の2日間実施)活動の支援、地域住民との交流イベント「ワイワイ広場」の主催、授業への支援、学校ボランティアのとりまとめと運営など、その活動は多岐にわたる。

 サタデースクールは教育課程外の活動となっているため、参加は自由。サタデースクールを開催する目的について同校の大谷憲司校長は、「協働問題解決能力を育成するため」と語る。その目的が達成されるのであれば、「メニューは何でも良い」とのこと。プログラミングのほかには、絵画、囲碁・将棋、バドミントン、サッカー、ドッジボール、ゲートボール、ミニ四駆、和太鼓、ギター、世界の言葉といった子どもたちの興味をかき立てる教室が用意されていた。

 サタデースクールは、朝8時45分から体育館で受付が始まる。校長から簡単な話をした後、子どもたちは各会場に移動。ちなみにプログラミング教室が行われるのは小学校に常設されているパソコン室である。

 サタデースクール「プログラミング教室」の講師を務めているのは、石井モルナさん。石井さんは「かわいい電子工作」を推進しており、『手づくり工作をうごかそう! micro:bitプログラミング』(翔泳社)など、Raspberry Pi、micro:bitなどの電子デバイスに関する書籍や記事を多数執筆していることで知られている。

 今年1月からは子ども向けプログラミング教室を展開しているTENTOにジョイン。経営企画本部講師として活躍している。

講師の石井モルナさん
講師の石井モルナさん

 実は石井さんは清瀬市民ではない。なぜ、プログラミング教室の講師を引き受けることになったのか。突然、あるイベントで同校PTA会長の柿添信作さんに声をかけられたのだという。「最初は驚きましたが、熱心に子ども向けプログラミング教育の思いを語られ、その熱意に押される形でいつの間にか引き受けていました」と笑いながら話す。

micro:bitでメロディサイコロを作る

 サタデースクールでの学びの時間は約2時間。今回、石井さんが用意したテーマは「micro:bitでメロディサイコロを作ろう!」だ。

 こちらはmicro:bitを振ると、メロディとともに数字が表示されるというもの。そのためのプログラムをパソコンで作るところから、教室はスタートした。

 英国放送協会(BBC)が中心となり英国のIT教育のために開発されたmicro:bit。小型のボディーにLEDや温度センサー、加速度センサーなどさまざまなセンサーが搭載されており、しかも安価(およそ2000円)という魅力を持つ。英国をはじめ多くの国の子どもたちに使用されているが、日本ではまだまだ普及していない。

 清瀬第三小学校の子どもたちにとってもmicro:bitを扱うのは初めて。そこでmicro:bitとは何か、石井さんは子どもたちにもわかりやすいように、コンピューターにもいろいろあり、これもコンピューターの一種であることを説明。言葉だけでは伝わりにくいので、何ができるのか、micro:bitに慣れてもらうことも考慮し、「LEDを光らせる」という簡単なプログラムを作ることにチャレンジした。

 子どもたちの手元にはやることをまとめたテキストが配られていたが、子どもたちは石井さんの呼びかけでめくってはみるものの、ほとんど目もくれず、石井さんの説明だけで、どんどん手を動かしていく。もちろん、子どもたちの周りには石井さんや柿添さんをはじめ、サポートの人たちが複数人いるので、少しでもわからないことがあれば、すぐに質問できるようになっている。また慣れている子どもの中には、ほかの子どもに教えてあげるといったシーンも多数見られた。

子ども同士で教え合うシーンも
子ども同士で教え合うシーンも

 子どもたちが使うPCはタブレット式。マウス操作を得意としていない子は、付属のペンでタッチして入力するなど、石井さんや周りのサポートの人たちに了解を取ることなく、自分のやりやすい方法でどんどん課題を進めていく。ちゃんと問題解決する姿勢が育まれていることを実感した。

 LEDを光らせる時間を設定し、デモ画面で確認できたところで、最初の課題は終了。石井さんが「ちゃんとついてこれたかな。できていない人はいませんか」と声をかけて、子どもたちの進捗状況を確認。全員ができていたので、いよいよ本題の「メロディサイコロ」のプログラミングへとチャレンジは移った。


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著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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