内田洋行は、京都大学 学術情報メディアセンター教育情報学研究分野が開発した、ラーニングアナリティクスツール「LEAFシステム」について、初等中等教育機関への販売を5月7日に開始した。小・中学校・高等学校向けの、児童生徒1名あたりの年間ライセンス価格は税別600円。
「LEAFシステム」は、デジタル教材の閲覧履歴や教材に書き込まれた内容などの学習履歴データを教職員や児童生徒が簡単に分析できるツールで、学習者個々人に寄り添ったよりきめ細かい学習・指導を実現する。デジタル教材配信システム(E-Bookリーダー)の「BookRoll」と、データ分析ツールである「ログパレット」、学習履歴データベースのLRS(Learning Record Store)で構成されている。

同システムについては、2020年から協業を開始した内田洋行教育総合研究所と京都大学 学術情報メディアセンター教育情報学研究分野が、京都市や滋賀県の研究協力校にて実証研究を実施。「LEAFシステム」を利用してもらい、児童生徒の理解度向上や教職員の負担軽減に関してのデータを集計分析し、それを授業改善に活かすなど、学校現場に適したデータ活用の実証研究を進めていた。
さらに2022年には、文部科学省が実施する、デジタルコンテンツとしてのデジタル教科書の配信基盤の整備事業 「通信回線速度が遅い学校でもデジタル教科書や連携するデジタル教材等が確実に届く配信基盤の実証研究事業 及び自治体が共同利用するID統合管理/SSO機能 及びセキュリティ/データセンター機能の基盤整備の実証研究事業」において「LEAFシステム」が採用され、デジタル教材の配信基盤としての有効性が示された。
今回の製品化にあたっては、「LEAFシステム」のユーザーインターフェースや各機能を大幅に刷新。児童生徒や教職員にとって、より直感的で使いやすいシステムへと進化している。
「LEAFシステム」の構成要素である「BookRoll」は、教職員がデジタル教材(PDF)を登録することで、児童生徒が端末上のWebブラウザからその教材を簡単に閲覧可能にするデジタル教材配信システム。児童生徒は教材上でマーカーを引いたり、メモを書き込んだり、ページをめくったりすることによって、「BookRoll」上でさまざまな学習活動ができる。そしてそれらの活動は、学習活動に関するさまざまなデータを管理するLRSに蓄積される。

もう1つの構成要素となる「ログパレット」は、LRSに蓄積された「学習ログ」を分析・可視化するデータ分析システムとなる。児童生徒が引いたマーカーを教材上に重ね合わせることで着目点を明確にするマーカーヒートマップや、引かれたマーカーの単語を集約するワードクラウドを自動的に表示するマーカー分析機能、児童生徒の筆跡を後から再現可能で、計算過程でつまずいた点やかかった時間を把握できる手書き(ペンストローク)分析機能などを備えている。教職員は、「ログパレット」の分析結果から得られた知見を次の授業準備に活かしたり、児童生徒の個に応じた学習指導に役立てたりすることが可能になる。

そのほか「LEAFシステム」では、学習eポータル「L-Gate」に登録された児童生徒の名簿情報と連携することによって、「L-Gate」からIDやパスワードを入力することなく自動的にログイン(シングルサインオン)できる。すでに「L-Gate」を利用している場合は、そこから簡単にアクセスするだけで「BookRoll」や「ログパレット」を使い始められる。
今後は、国際技術標準であるxAPI(Experience API)に基づき、「L-Gate」と「LEAFシステム」の学習ログをLRSに集約。その後、「L-Gate」と連携するアプリケーションの学習ログと、「LEAFシステム」で得られる分析データを多角的に表現し、児童生徒の個別最適な学びに資するデータの利活用を提案していく。
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