大阪大学、日本電気(NEC)、大阪モノレールは、DX推進およびデジタル技術を活用した社会実装の一環として、通学定期券発行における利便性向上や業務効率化、不正申請防止に向けた実証実験を、3月に共同で実施した。
同実証には、大阪大学の学生などが参加した。大阪モノレールの千里中央駅にて、マイナンバーカードと生体認証技術、および「検証可能な資格証明(VC)」を活用したソリューション「NEC Digital Identity VCs Connect」でオンライン上での本人証明や資格証明を行い、通学定期券購入までの実験を行っている。

これまで利用者本人の確認や資格証明を行う場面では、窓口などでの目視確認が行われていたため、利用者にとっては場所や時間の制約、事業者にとっては業務負荷や不正申請の防止が課題だった。これらの課題を解決すべく、NECは長年培ってきた生体認証技術を活用した、VCによる分散型アイデンティティの認証、本人確認の基盤整備に取り組んでいる。

一方、大阪大学では中期経営計画で掲げる「OUマスタープラン2027」のもとDXを推進。大阪大学コミュニティのすべてのステークホルダーに対する生涯IDとして、OUIDの発行と付加価値の高いサービス提供を目指しており、2025年1月にはOUIDと連携した「デジタル学生証・教職員証」を導入した。
同実証によって、真正性の高い認証や有用性を確認して、大阪大学の学生および職員の通学定期券購入手続きにおける、利便性向上や業務効率化に大きな効果があることが確認できたという。
同実証における、学生が定期券発行を行うまでの手順は以下の通り。
- マイナンバーカードを読み取り、顔認証により本人確認したうえでデジタル本人証明書を取得
- 大学の通学証明書発行サイトにデジタル本人証明書を提示し、デジタル通学証明書を取得
- 鉄道会社窓口に掲示のQRコードを読み取り、サイト上にデジタル通学証明書を提示。証明書改ざん検証・顔認証による本人確認で、デジタル通学証明書の真正性を確認
- 鉄道会社窓口にて通学定期券を発行(模擬)

将来的には、学生が鉄道会社の窓口に訪れることなく、すべてオンライン上で定期券の購入が可能になる仕組みを構想している。

さらに大阪大学では、今回の知見を活かして「デジタル学生証・教職員証」の拡張性を進め、より便利で安全なサービス展開を目指すとともに、同仕組みを他大学や企業と連携しつつ社会全体に還元していく。
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