教職員全員で「これからの学びの姿」を共有し、校内研究に取り組む
今回のシンポジウムは、授業公開と川崎市教育委員会による講演の二部構成で開催。同市の教員のほか、市外からも教育委員会関係者など約70名が参加した。
最初に、シンポジウムの会場である川崎市立旭町小学校の校長、添野雅美氏が登壇した。同校は川崎市におけるGIGAスクール構想の推進校として、他校に先駆ける形で2020年度から端末の活用を開始。現在は日常的に教育活動で端末を使っており、児童の学習への意欲につながっているだけでなく、保護者からの評価も高いという。
その一方で、添野氏は「教職員においては『活用はしているが、このままでいいのか』という、推進校ゆえの葛藤もある」とし、「教職員みんなで、これからの学習活動や新しい授業観、児童の主体的な学びの姿をイメージして、校内研究に取り組んでいる。教職員それぞれの持ち味を生かした実践を行い、互いに学び合う姿勢を大切にしていきたい」と話した。
オクリンクプラスを使い、児童が学び合う授業に
シンポジウム当日、旭町小学校の5時間目の授業は4年生をのぞいた5学年の全クラスが公開授業となっており、参加者は校内をまわって見学した。
川崎市内の小中学校は「Chromebook」と「Google Workspace for Education」を導入し、ベネッセの学習支援ソフトであるミライシードを活用している。旭町小学校では、協働学習を支援する機能「オクリンクプラス」もいち早く活用し、今回の授業でもオクリンクプラスを使って意見を交換する場面が見られた。
6年生の国語「熟語の成り立ち」では、班ごとに「対になる漢字の組み合わせはどの熟語か」といったテーマでクイズを考えた。「友情は、友の情けだよね。これってどういう組み合わせかな?」など、班の中で活発な意見が交わされ、児童は楽しみながら漢字の意味を考え、問題を作り上げていった。
作った問題は、クラス全員に共有されるオクリンクプラスの「みんなのボード」に表示され、ピン集計機能を使い、正解だと思う選択肢に各自がピンを留める。正解が発表されるたびに「やったー」と歓声が上がり、全員が前のめりに授業に参加している様子が感じられた。
また、6年生の道徳「クジラとプラスチック」の単元では、海洋汚染についての意見を各自で考える。その際、なかなか意見が書けず手が止まっていた児童も、周りの意見を参照しながら自分の意見を書き始めていた。
通級指導学級のわかば級では、オクリンクプラスでクイズを行う授業を実施。1人の児童が絵の描き方の工夫を披露すると、早速、ほかの児童がその方法を取り入れて絵を描く様子が見られた。