CA Tech Kidsは、Microsoftが提供する生成AIサービス「Microsoft 365 Copilot」を活用した高校教員向け研修および高校生向けプログラミング授業の提供を開始することを、11月27日に発表した。
近年、教育現場では授業準備や生徒指導、部活動の指導など教員の業務負担が増加する中、教員の働き方改革と労働環境の改善が急務となっており、これを解決する手段のひとつとしてAIを活用した校務の効率化に注目が集まっている。授業計画の作成、アンケートやテスト結果の集計、日々の事務作業など多岐にわたる校務をAI技術によって効率化することで、教員が生徒一人ひとりと向き合う時間や教材研究の時間を確保し、質の高い教育の提供につながることが期待されている。
サイバーエージェントグループは2016年にAI研究組織「AI Lab」を設立し、2023年5月には独自の日本語LLM(大規模言語モデル)を開発・一般公開した。その後2024年6月には視覚を付与したVLM(大規模視覚言語モデル)を、2024年7月には日本語LLMバージョン3となる「CyberAgentLM3」を公開し、同社が提供するサービスに生成AIを実装することで広告効果の改善・業務生産性向上を実現するなど生成AI技術の研究開発に取り組んできた。また2023年10月には、生成AIで社内の業務効率化を強化するための「AIオペレーション室」を設立し、生成AI活用ノウハウの蓄積、プロダクト開発や業務プロセスの整備と標準化、AI人材育成に取り組んでいる。
このような背景のもと同社は、サイバーエージェントグループのAIに関する豊富な専門知識を生かし、教育現場における課題解決と、次世代を担う子どもたちへのAI教育を推進するためこの度の取り組みを開始することとした。
高校教員向け研修
高校教員向け研修では、Excel、Word、PowerPointなどのOffice製品と連携して利用できる「Microsoft 365 Copilot」を活用した校務効率化の手法を学び、教育現場における日常業務の負担軽減を目指す。研修はハンズオン形式で行われ、参加者は実際に「Microsoft 365 Copilot」の機能に触れながら、具体的な業務シナリオに基づいた活用方法を体験できる。例えば、会議資料の作成支援やスケジュール管理、授業計画書の作成、生徒の学習データの分析支援など、さまざまな場面での効果的な使い方を実践的に習得していく。
校務の効率化を図ることで、教員が本来の職務である生徒対応に専念できる時間を増やすことが可能となり、個別の学習ニーズに応じたきめ細かな指導や生徒の心理的なサポートの充実が期待できる。
高校生向けプログラミング授業
高校生向けプログラミング授業では、初心者も扱いやすく幅広い分野で活用されているPythonを用いてプログラミングの基礎を学ぶ。Pythonはシンプルな文法と豊富なライブラリを持ち、データ分析や人工知能開発など、現代のテクノロジー分野で広く使用されている言語となる。
授業では講師が「Microsoft 365 Copilot」の基本的な使用方法や生成AIの利用に関するリテラシー、プログラミング学習における、AIツールの適切な活用方法について指導し、生徒は「Microsoft 365 Copilot」をAIアシスタント講師として活用しながらプログラミングの基本概念を自ら探求し、学んでいく。
2025年度の大学入学共通テストより新たな科目として「情報I」が設けられる一方で、情報科の専門教員の不足や、地域によって情報教育の環境や質に大きな差が生じていることが課題となっている。AIの活用によって情報教育に不慣れな教員のサポートや地域差を減らすことを目指す。
生成AIは若年層にとって身近な存在となりつつあるが、情報漏洩のリスクや誤情報の生成などの課題が生まれている。同授業を通じて、AIとの適切な付き合い方を身につけることが可能となる。
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