子ども同士が意見を出し合い、自分の意見を表現できる環境を作る
それぞれの探究のテーマを決めていく際、どのように子どもたちの好きやワクワクを引き出せばよいのか、悩まれる先生方も多いと思います。子どもたちの「好き」や「ワクワク」をうまく引き出していくコツのひとつに、「チームを作って子どもたち同士が自由に意見を出し合える環境を作る」というものがあります。
1学級あたり30人ほどの児童生徒のうち、好きなことをたくさん書き出せる子もいれば、そうではない子もいると思います。まずは個人で好きなことを考えてもらったら、次にグループに分けて、お互いの好きなことや興味関心があることを共有し合う時間を取るのもおすすめです。
自分一人では好きなことが書けていなかった子も、書ける子に触発されて新しいアイデアが生まれることもあります。どうしても最後まで好きなことが書けない子に関しては、教員が個別面談してフォローアップしていくとよいでしょう。
探究の学びでは、児童生徒が自分自身でテーマを設定することが非常に大切です。先生方にはそのプロセスに伴走する時間を、多く取っていただきたいと考えています。
また、子どもたちが口にする表面的な言葉だけでなく、その裏にある思いを引き出す対話を心がけることで、探究以外の普段の授業スタイルも変わっていくはずです。例えば、教科学習でも教科書通りに教えるスタイルではなく、子どもたちに「なぜその答えだと思ったのかな?」「どんなふうに考えたのかな?」とヒアリングする時間を設けたり、自由にディスカッションする時間を増やしたり……子どもたちが自由に表現する機会を、ぜひ積極的に作っていただければと思います。
イギリスの公立小学校の宿題などは非常にユニークで、PE(体育)の宿題では「自分のオリジナルの体操を作ってみて」や、「あなたが1日国王・女王だったとしたら、どんなふうに世界を変える?」など、自分がどう考えて、いかに表現するか、また何をしたいかについて考えることをとにかく促します。
これは「慣れ」と同じで、計算問題を解き続けることによって計算が速くなるのと似ています。自分で考え、表現する(アウトプットする)ことを繰り返していると、それが得意になっていくことは間違いないでしょう。
先生方はすでにたくさんの工夫をしていらっしゃると思いますが、探究の時間からインスパイアされたことを積極的に取り入れていただくと、ほかの授業にも好影響を与えるのではないでしょうか。