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イベントレポート(働き方改革)

男性教員の育児休暇取得のリアルとは? 管理職への相談、経済面など気になる話題を経験者が語る!

クジラボ「男性教員の育休トーク~4人のパパ先生のリアルな声をお届けします~」レポート


【金子綱基先生】出産前休暇も経験。自ら選んで決めることが大事

金子綱基先生
金子綱基先生

金子先生:まず育休取得にあたっては「なぜ取るのか」を意識したほうがいいでしょう。育休は取っても取らなくてもいいもの。私自身は取ってよかったと思っていますが、周囲には「取らなければよかった」と言う人もいます。いずれにおいても、誰かに相談したとしても、最後は自分で決めることが大切だと思います。

 私が育休を取得したのは、今、育児に関わらなければ長い人生できっと後悔すると思ったからです。子どもと一緒に過ごせるのは20年足らず。その中で、親と濃密な時間を過ごせるのはせいぜい中学生になるまででしょう。私の場合、2022年の時点で長男が10歳だったので、そのリミットが迫っていると感じていました。一方、仕事の期間は定年が65歳として残り43年ほどあり、育休と時短勤務の2年はごくわずかなものと考えました。そして、なにより「子育て」は妻と共に取り組む「人生最大の共同作業」です。

 2021年度に育児短時間勤務を経験し、第3子の誕生前に1カ月の産前休暇を取りました。男性の取得は公的には認められていないため年休と特休を利用したのですが、取得してよかったと思っています。そして、2022年9月から1年間の育休を取得し、家事と育児を分担して妻の活動をサポートしました。

 実を言うと、第1子が生まれた2013年当時は、育休取得など考えたことがありませんでした。妻が退職し、周囲にも取得者はほとんどいなかったので、自分事と考えることができなかったんです。しかし、第2子が生まれた2018年、第3子が生まれた2022年と、徐々に認知も上がってきました。本当は第2子が生まれた2018年の3月に育休を取得したかったのですが、年度末は忙しくて取得がかないませんでした。しかし、その後は職場の理解や協力にも変化が生まれ、育休を取り巻く環境は変わりつつあると感じています。育休自体の内容も、育児一点集中から、家事と育児の両立、自分軸も加えた「三立」ができる社会システムへと進んでいるように思います。

育休以外にもさまざまな働き方がある
育休以外にもさまざまな働き方がある

 それでも、管理職や先輩方からは「奥さんが休んでいるなら大丈夫なはず」「自分たちもなんとかやってきたから」「必要なときは年休でなんとかして」などと声をかけられることもありました。「今の若い先生はいいわね」と言われて、本当に悔しかったですね。子どもが熱を出して3日ほど寝込んだときも、子育てを経験してきたはずの先生まで「奥さんは休めないの? 仕事をしていないんでしょ?」「自分のときも我慢したんだから」といった反応でがっかりしました。ほかにも自分の子どもの卒業式や表彰式にも休みを取りにくい雰囲気があり、そうした空気をなんとか変えてきいたいと思っていました。

 情報や前例がない、対応策や手続きが不透明、代わりがいない、先行きの不安があるなどで、管理職も困っているはずです。だからこそ、そうした問題を一緒に考えて解決していくことが大切だと感じています。

 応援者は必ずいます。このセミナーのように体験を共有することは、いろいろ手法を知る機会を提供し、心強い支えとなってくれると思います。理想は、さまざまな働き方の中から、自分のライフスタイルや価値観に応じて決められること。私も自分で働き方を選んで決めることで、「山梨のファーストペンギン」として前例になりたいと思っています。

 実際の育休中の過ごし方としては、妻と協力して3人の子育てと家事を行い、子どもを連れて外出したり、自分の経験の発信やイベントの企画を行ったりしました。大学に講師として呼んでいただいたこともあります。その間、妻は自分がやりたいこととしてヨガ講師の資格を取り、現在は自宅でレッスンをするまでになりました。

 育休を取得してよかった点は、生活のゆとりができたこと、夫婦の共同感が増したこと、子どもとの時間が増え、やりたいことに付き合えたことなどが挙げられます。また経済面については、通常の月収が30万円として、育休前半は22万円、後半は16万円の収入に対し、支出は22万円で、大きなマイナス面は感じなかったものの、家計管理は必須だと思いました。

 保育園の途中入園ができたので、2023年の9、10月に特別支援学級の担任として育休から復帰し、2023年11月から2024年の3月の間は巡回方式で小学校6校、22コマ分の授業で日本語指導を担当しました。今年4月からは特別支援学級の担任を務めており、復帰については緊張感があったものの、特に困ったことはありません。おそらく自分の状況や働き方を事前に伝えており、その前提が周囲に理解されているからではないでしょうか。早朝に出勤することはあっても、遅くまでは残らないようにしていますし、チャットやアプリなどの活用も進んで情報共有も簡単になりました。

 お金か時間か、自分が他人か……それを選んで決めること。育児休暇の価値は、教員自身が満たされることで子どもへの影響力が高まることにもあると考えています。自分で選択することが大切で、今しかできないこととしてチャレンジしていただきたいですね。

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質疑応答

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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