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プログラミング教育に取り組む学校の先生インタビュー

技術・家庭科の学習内容の充実のために──日本女子大学附属中学校における情報教育の取り組み


「プログラミングが得意」と気づき自信につながる生徒も

 女子だからといって、調理や裁縫など家庭分野の学習内容が苦手な生徒も当然いる。「授業でプログラミングをやってみたら、『私、こっちはできる』と得意であることに気づき、自信を持って授業に参加できるようになった生徒もいます。できる子にスポットライトが当たってみんなが注目し、活躍の場が広がるということが起きています」と福井先生は話す。

 これとよく似た状況を、小学校のプログラミング教育など、共学の環境では男子の例でよく聞く。普段あまり前に出るタイプではない男子がプログラミングでは驚くほど活躍していたというエピソードを聞かせてくれる先生は多い。実はそのとき、女子の中にも必ず静かに力を発揮している子がいるはずで、同じように注目して声をかけていく必要があると感じさせられた。

 また遠山先生は、学校でプログラミングを経験することの重要性を次のように指摘する。

 「授業で『私はプログラミングが得意』と気づくと、今まで社会的には女性の将来像としてあまり入ってこなかったIT系の仕事が、将来的な選択肢となり道が広がります。これはとても大きなことだと思います」(遠山先生)

遠山弥生先生
遠山弥生先生

専攻分野や職業と、性別イメージを結びつけないために

 先生方のお話からは、同校で情報の領域について豊かな学びが広がっていることがわかる。何より、自分の「好き」を見つけたり将来の選択肢が増えたりするのは、とても重要なことだ。そしてこの学びを支える背景には、家庭科の先生方の高等学校情報科免許の取得によるスキル獲得や、みんなのコードなど外部の支援の力がある。

 一方、2021年度よりプログラミングに関する学習内容が増えたことで授業内容に悩みを抱えている学校が、ほかにも存在する可能性はある。おそらく各学校の歴史的な背景や方針だけでなく、教員確保や採用の課題、標準授業時数に対する学ぶべき分量なども状況を難しくしているのだろう。

 ここ数年、理系に進学する女子比率が低いジェンダーギャップが社会的な課題として捉えられるようになってきた。進路選択につながるジェンダーバイアスが身につく原因はさまざまなところにあり、どこか1カ所に原因を求められるわけでは決してないが、技術・家庭科の学習内容に関して言えば、どちらの分野も充実した授業を行うことで、さまざまな生活に関わる技術や産業に関わる技術を知り、使いこなすきっかけになるはずだ。「女子校だから」「男子校だから」という理由で学習内容が偏るようなことが起きるのは望ましくない。性別のイメージと特定の領域を結びつけることなく、子どもたちが自分の「好き」を見つけられる学習環境を大切にしたい。

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この記事の著者

狩野 さやか(カノウ サヤカ)

 株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。著書に『見た目にこだわる Jimdo入門』(...

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関口 達朗(セキグチ タツロウ)

 フリーカメラマン 1985年生まれ。  東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。  2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。  2児の父。旧姓結束。趣味アウト...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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