サイエンス・アクセシビリティ・ネットは、アクセシブルなデジタル図書館「Chatty Library(チャティライブラリ)」を2月に開設した。同図書館は、無償で利用できる。
障害者差別解消法の改正により、4月1日から障がいのある人たちへの「合理的配慮」の提供が義務化される。教育分野では、発達障がいを抱える子どもたちへの配慮などが模索されている中で、読み上げ機能を備えた電子図書である「マルチメディアDAISY」や「Accessible EPUB3」といった「デイジー図書」が、読み書きに困難がある児童・生徒・学生に対して効果があると期待されている。
デイジー図書は、文字の拡大縮小だけでなくルビの表示、文字のハイライト、読み上げ速度の変更などが可能なアクセシブルなデジタル図書。しかし試験問題は、通常の教材と異なりあらかじめ第三者がデイジー版を作成できず、教員が試験問題をデイジー化するための環境整備が重要となっていた。
今回、同法人が開設した「Chatty Library」には、PDFをアップロードした後OCRによって自動的にデイジー図書を作成可能な「ChattyBox」が用意されている。「ChattyBox」と、「Chatty Library」にて提供されているフリーソフトによる修正を組み合わせることで、試験問題のPDFから短時間で正確な読みのデイジー化した試験問題を作成できる。また、デイジー化した試験問題は「ChattyBox」のファイル共有機能によって、児童・生徒・学生のパソコンやタブレットなどへ共有できる。
「Chatty Library」における、教育現場での合理的配慮の提供への対応ポイントとしては、同サイトの利用登録に、学校や放課後ディサービスといった法人向けの「教師・法人ユーザー」登録を設けている。「教師・法人ユーザー」は、児童・生徒・学生が同サイトを利用するための手続きを簡単に行える。また「教師・法人ユーザー」が登録した児童・生徒・学生とデータを共有する機能も搭載する。
「Chatty Library」の図書館には、児童書・ヤング人気本・サイエンス・マンガといったデイジー図書が約300タイトル登録され、読むことに困難のある人たちに提供されている。データ共有機能を使用すれば、試験問題だけでなく図書館にあるデイジー図書や、教員がアップロードしたデイジー図書の共有も可能になる。
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