芝浦工業大学 情報工学科 菅谷みどり教授らの研究チームは、三菱鉛筆、ストーリアと共同で、筆記具の役割である「書く」「描く」ことに加えた新たな提供価値を創出するための試みのひとつとして、学習中に特定の音による聴覚刺激で、集中力が向上する可能性についての実証実験を実施したことを、12月21日に発表した。
同実証によって、集中力が落ちてくるタイミングに「川のせせらぎ(River Sound)」を流すことで、集中力を表す脳波が上昇することが確認されている。同実証の結果を応用することで、個人の勉強だけでなく授業の最適化、日常の作業における効率の向上が期待される。
具体的な実験手法としては、EEG(Electro Encephalo Graphy)信号を取得可能なInteraXon製ヘッドバンドを装着した実験協力者に対し、情報処理能力を測定できるPASAT(Paced Auditory Serial Additions Task Clinical Assessment for Attention)テストを実施した。PASATテストは前後半それぞれ2分の計4分間行い、後半の2分間では実験協力者に対してさまざまな視聴覚刺激を与え、その際の脳波とPASATテストの正答率を前後半で比較し、各視聴覚刺激によって集中力がどのように変化するかを調査している。
今回のPASATテストでは、通常の環境下で2分間テストを行った後、休憩を入れずに環境光(Red、Blue、Green)と、背景音(White Noise、River Sound、Classic Music)下でのテストを2分間実施した。前半と後半の脳波とPASATテストの正答率を比較した結果、背景音に「River Sound」を流すことによって、正答率が向上する傾向がみられた。
また、赤いライトと比較して「River Sound」のγ波が、有意差に高い(1%水準)という傾向が得られている。
研究チームは今後、サービスとして展開するために実験協力者を増やすとともに、刺激に対する感度を把握して、どのような刺激がより集中力の向上につながるかを検証していく。
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